アップルソング

虹の午後が呼ぶから行くんだ ページ16

「本日は、これで終わりです」


優しい声で目が覚めた。
あまりに気持ちよくいつの間にか眠っていた様で、時計を見ると3時間程経っている。




『気持ちよくて、寝ちゃいました 笑』
「だいたいの方は、眠られますよ」
『お肌がツルツルだ 笑』
「あと3回、いらしてください」
『3回も？』
「はい。そのようにプログラムを組んでいますので。明日香さんからも、必ず全て受けて頂く様に言われています」
『…わかりました』
「コースが違いますが、お連れ様も終わっております」
『ありがとうございます』



基礎化粧品一式を渡され、美咲のいる待合室に向かった。





「あー、気持ち良かった」
『うん。夢みたいな時間だった 笑』


美咲を見ると、先程渡された基礎化粧品を持っていない。



『あれ？美咲は化粧水とか渡されてないの？』
「うん。コースが違う。私は、痩身エステだから 笑」
『この基礎化粧品も含めて無料って、明日香って本当に凄いね。絶対に高いよ、これ』
「ね 笑。Aが綺麗になって、ウッチー喜ぶんじゃない？」
『きっと気づかないよ 笑』
「何気に、楽しみにしてたりして 笑」
『川島さんだって、喜ぶでしょ？』
「明日から永嗣君は合宿だから、これから会うんだ。楽しみ！」
『ラブラブだ 笑』
「婚約中のA達には、負けるけどね。うん、間違いない 笑」


私の左手の薬指の指輪を見て、美咲が悪戯っぽく笑った。




美咲に川島さんから連絡が入り、またすぐ逢おうと約束をして美咲と別れ、ホテルに戻った。






鹿島に行っている篤人は、まだ帰って来ていない。



一人でホテルの部屋でのんびりしていると、メールを受信した音が聞こえた。
見れば、2通来ている。


"鹿島で飯食って帰るから、遅くなる"






もう1通は、明日香から。


"必ずあのエステに通うこと。約束ね”









「結婚の報告に行ったら、全然帰らせてもらえなくて」



篤人がホテルに帰ってきたのは、21時を廻った頃。
私の座っているソファーの隣に、ドカリと腰を降ろした。


『ご飯食べてきた割には、帰ってくるの随分早かったね』
「…疲れた」
『お疲れ様 笑』
「綺麗になったの？」
『どうかな 笑。でも、肌はツルツル』
「確かめようか、俺が」
『え？』
「俺が、一番わかるでしょ」
『…』
「明日から合宿で、禁欲生活だし」
『…』
「わかってると思うけど、Aに拒否権無いからね」



ニヤリと笑った篤人にソファーに押し倒され、いつもよりも熱いキスを送られた。

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