青春狂走曲4

いつも君 ずっとまけたって構わない ページ47

それからしばらくして、真司にはスカイプで 美咲と明日香には直接会って篤人と別れた事を報告した。

泣いたのは麻也に報告した一回だけ。

みんなは何も言わず、「Aが幸せになってくれればいいから」と笑った。


篤人と連絡は取っていない。

たまにテレビや麻也から篤人の様子を聞く事が出来た。

元気なんだね、篤人

篤人は寂しくない？

私はまだ寂しいよ

でも前を向いて歩いて行くね

それが二人の願いだから


ゆっくりゆっくりと、少しずつだけれど篤人と別れた事を受け入れ始めている。

篤人からもらったネックレスは修理から戻って来た。


もう少しだけ


そんな気持ちで、思い出のネックレスを首につける。

裕平さんがくれたネックレスと並んで、篤人のネックレスがぶら下がっている。


(明日東京行くので、カフェにいますか？)

久しぶりに大津君からメールが来た。

(うん。スクールも終わったから、オープンからずっといるよ)

(夕方位に行きます。その後飯どうですか？)

(いいよ。待ってるね)

次の日の夕方、大津君が一人でカフェにやって来た。

「久しぶり、A先輩」
『うん。鹿島戦以来だね』
「もうすぐA先輩ドイツ行っちゃうから、制服姿見ておこうと思って」

大津君が変わらない笑顔で笑う


『裕平さん、お疲れさまでした』
「お疲れ」

外で待っている大津君の元に駆け寄る。

『ごめんね、お待たせ』
「久しぶりで嬉しい 笑」

大津君のリクエストで、焼肉屋さんに入る。

「今日は俺のおごりです」
『ダメだよ。年下におごられる訳にいかない 笑』
「俺スポーツ選手ですよ？格好つけたいから」
『ありがとう 笑』

目の前に座る大津君は本当によく食べる。

少しだけ篤人の事を思い出し、胸が小さくうずく

「内田先輩元気ですか？」
『…多分 笑』
「多分って 笑。内田先輩も忙しいですもんね」
『…うん』
「鹿島戦、出たかったー。せっかくA先輩見に来てたのに 笑」

大津君が笑う。

箸を置き、深呼吸して大津君を真っ直ぐ見つめた。

『…別れたんだ、私達』
「え？」

大津君の箸が止まり、私を見つめ返す。

「…何で？」
『…お互い前に進むため。後悔してないといえば嘘になるけど 笑』
「辛いですか？」
『辛かった。でももう前に進んでるよ。私も、きっと篤人も』

大津君が私の手を優しく握る。

「俺、1年後遅くても2年後、もっといい男になってドイツに行きますから。待ってて下さい」

大津君が真剣な目で私を見つめた

目を瞑って遠くまで そのまま明日まで→←君の事想うとき 僕はいつも幸せになる

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す