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夢のかけら拾いあげても世界は変わらない ページ39

篤人の胸に優しく抱かれながら、一睡も出来ずに朝を迎えた。

カーテンから差し込む光が眩しい。

目の前で眠っている篤人をただ見つめていた。


しばらくして、私を抱きしめていた手に力が入った。

「おはよ、A」
『…おはよう、篤人』
「Aの肌、気持ちいい」
篤人が私をキツく抱きしめる。

『…篤人の肌も気持ちいいよ』
「このまま起きたくねー 笑」

篤人が私の顔を見ながら優しく笑った。


お正月も三が日を過ぎてすぐに、私は東京に戻った。

『今年もよろしくお願いします、裕平さん』
「ん。今年もよろしく」

冬休みで語学スクールもない私は、朝からカフェのバイトを予定に入れていた。

『裕平さん、地元帰ったんですか?』
「うん。毎日ベロベロ 笑。飲んでばかりだった」
『そうなんだ 笑』
「お前も飲んでばっかりだったんだろ?」
『私まだ未成年ですから 笑』
「忘れてた。そういえば彩にも会った」
『へぇ』
「やっぱり、復縁はないな 笑」
裕平さんが笑った。


あの同窓会の日から続いていた胸のザワザワしていた感覚が、裕平さんと話していると少しだけ楽になった気がした。


裕平さんが真剣な顔でケーキを作る。

私はお客さんからオーダーを受け、裕平さんが作ったケーキを運ぶ。

いつも通りの日常が心地よかった。

最後のお客さんが帰り、お店の外の電気を消した。

『初日なのに随分忙しかった 笑』
「そうだな。お疲れ」
『お疲れさまでした』

カップを洗い終えると、裕平さんが近づいて来た。

「これ、お年玉」
『え?悪いですよ。私もう19ですよ?笑』
「いいから」

裕平さんが私の手に握らせたのは、小さな箱だった。

『これ何ですか?』
「いつも頑張ってるからな」

箱を開けると、小さな石のついたネックレスが入っていた。

『こんなの受け取れませんよ』
「お前の為に買ったんだから、返されても困る」
『…そんな』
「別に高くないから」

私の手からネックレスを奪い、裕平さんが私の首につける。

「いいじゃん。お前にピッタリ」
裕平さんが笑った。


世間がお正月の余韻から目覚めた頃、カフェに篤人が来た。

『あれ?篤人がくるなんて聞いてない 笑』
「言ってないもん。しばらくこっちにいるわ」
『いいけど私バイト三昧だよ?』
「俺も都内で取材とかあるし」
『わかった 笑』

裕平さんが篤人にケーキを出す。

「これ新作だから、感想聞かせて」
「うまそ」
篤人が笑顔で頬張る。

その姿を私は黙って見つめた。

君に優しくしてあげたかった ブルーのこころ→←くずれ落ちて もつれ合って 浮かんでは 沈んで



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momotan(プロフ) - おはようございます。最初から一気にここまで読んだのですが、二人が別れた時、苦しすぎてちょっとプチパニックになりました。落ち着かせる為にわざと我慢せず泣いて頭冷やすためにカキ氷食べました 笑 続き楽しみです 幸せならいいなあ ( ; ; ) (2014年7月21日 6時) (レス) id: 713fce9fe2 (このIDを非表示/違反報告)
香代(プロフ) - 朝から一気に読ました!そしてまた、大号泣です(TT)切ない…切な過ぎます(T_T)rockinさん最高です! (2014年6月17日 14時) (レス) id: 53631b236d (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 小説で初めて泣きました。続編はまだ読んでないですが、またくっつかないかなぁ、と熱望してしまいます。笑 (2014年5月4日 21時) (レス) id: 54946c3b64 (このIDを非表示/違反報告)
コンタック(プロフ) - 分かっていたのに大号泣…あたらしいうたに進む前に素晴らしい日々をかラブセレナーデ で精神安定を図らねばとも思いましたが、どっちも結局 涙無しで読めないですし。迷い所です(._.) (2014年4月21日 20時) (レス) id: fe922a9518 (このIDを非表示/違反報告)
ライチ(プロフ) - 切なすぎです。もう切なくて苦しくて泣いちゃいました。 (2014年2月11日 9時) (レス) id: 5e8b0ee40a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rockin | 作成日時:2012年10月24日 10時

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