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今朝の風はなんだかちょっと冷たく肌に吹いてくるんだ ページ35

「内田君、いらっしゃい」
「裕平さん、お勧めケーキとコーヒーお願いします」
「了解」

カウンターに篤人が座り、裕平さんと談笑する。

「昨日内田君来てるの知らなくて、飯にA誘ってゴメンね」
「全然。連絡しないで直接行ったので」
「今度内田君も一緒に飯行かない?小さいけどウマい居酒屋あるから」
「是非」

二人のやりとりを横目で見ながら、仕事をする。

1時間程経った時、篤人の携帯が鳴った。

「お客さんいなくなったから出ていいよ」
「ありがとうございます。 もしもし」

篤人が電話をしている間、裕平さんが私にコーヒーを淹れてくれた。

「お客来ないうちに飲め」
『ありがとうございます 笑』

座る訳には行かないので、篤人の隣に立ってコーヒーを飲む。

「え?今?彼女のバイト先のカフェにいる。場所?」

篤人が簡単にここの場所を説明して電話を切った。

『誰か来るの?』
「なんか凛さんが鹿島の先輩と来るって」
『凛さんが来たら大変だ。お店が混んじゃう 笑』

しばらくすると、凛さんが来た。

『いらっしゃいませ。お久しぶりですね、凛さん』
「お久しぶり、Aちゃん。篤人くんは?」
『お手洗いに行ってます』
「カフェオレもらおうかな」
『かしこまりました』

裕平さんにオーダーを伝え、凛さんに篤人の隣の席を案内する。

「あれ?何で凛さん一人なの?」
お手洗いから出て来た篤人が席に座る。

「なんか用事出来ちゃったって」
「そう」
「今日鹿島まで行く用事あるから、乗っけてもらってもいい?」
「いいけど。何人?」
「私一人」
「わかった」

あまり気にせず仕事をしていると、お店が混んで来た。

「あの噂本当だ。サッカー選手ってモデル好きだよね」
「ウッチーの彼女ってやっぱり凛ちゃんだったんだね」

テーブル席に座っている女の子達が、篤人と凛さんを見て話している声が聞こえた。

「お似合いだね、あの二人」
「なんか凛ちゃん、よく鹿島で目撃されてるし。美男美女で羨ましいな」

昨日の夜と同じ様に胸の奥が小さくズキンと鳴った。


「A、そろそろ帰るわ」
篤人が立ち上がった瞬間、数名のお客さんが篤人と凛さんに近寄り、サインを求めた。

二人とも快くサインに応じている。

「二人の事応援してます」
ファンの女の子の言葉に、凛さんが「ありがとう」と可愛い笑顔で答える。

「じゃぁ、またな」
篤人と凛さんが、二人並んでお店を出て行った。

私は二人の後ろ姿を見つめたまま動けなかった。

もうすぐ雨が降るかもしれない→←霧が運ぶ恋がいつだって僕らには見えるはず



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momotan(プロフ) - おはようございます。最初から一気にここまで読んだのですが、二人が別れた時、苦しすぎてちょっとプチパニックになりました。落ち着かせる為にわざと我慢せず泣いて頭冷やすためにカキ氷食べました 笑 続き楽しみです 幸せならいいなあ ( ; ; ) (2014年7月21日 6時) (レス) id: 713fce9fe2 (このIDを非表示/違反報告)
香代(プロフ) - 朝から一気に読ました!そしてまた、大号泣です(TT)切ない…切な過ぎます(T_T)rockinさん最高です! (2014年6月17日 14時) (レス) id: 53631b236d (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 小説で初めて泣きました。続編はまだ読んでないですが、またくっつかないかなぁ、と熱望してしまいます。笑 (2014年5月4日 21時) (レス) id: 54946c3b64 (このIDを非表示/違反報告)
コンタック(プロフ) - 分かっていたのに大号泣…あたらしいうたに進む前に素晴らしい日々をかラブセレナーデ で精神安定を図らねばとも思いましたが、どっちも結局 涙無しで読めないですし。迷い所です(._.) (2014年4月21日 20時) (レス) id: fe922a9518 (このIDを非表示/違反報告)
ライチ(プロフ) - 切なすぎです。もう切なくて苦しくて泣いちゃいました。 (2014年2月11日 9時) (レス) id: 5e8b0ee40a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:rockin | 作成日時:2012年10月24日 10時

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