青春狂走曲4

変わらないものを見つけに行くのさ ページ4

寒かった冬に終わりを告げ、春がそこまで顔を覗かせている。


「卒業おめでとうございます」
『ありがとう』
2年生の女の子が、制服の胸に花をつけてくれる。

「この制服も今日で最後か。3年間本当に早かった」
美咲が溜め息をつく。

「3年間みんな同じクラスだったし本当に楽しかった」
明日香が楽しそうに笑った。

『うん。思い出があり過ぎて、もう泣きそう 笑』
「A、涙目じゃん 笑」
『見ないで 笑』

笑いながら少し後ろに整列している篤人を見る。

篤人の制服姿もこれで最後か。

1年生の入学式に篤人と出会い、2年生の寒い時に恋人同士になって、心臓が飛び出しちゃうんじゃないかと思いながら、二人で一緒に大人になった。

レイちゃんとか、ミサトちゃんとか、大津君とかたくさんの人とも出会った。

みんなの顔を思い出した瞬間、また涙が出そうになる。

体育館に移動し、卒業式が始まった。


「香川 真司」
「ハイ」

「吉田 麻也」
「ハイ」

「内田 篤人」
「…ハイ」

壇上に登り、卒業証書を受け取る篤人を見つめる。

篤人と一緒に過ごした毎日を忘れない様に。

篤人のピンと伸びた姿勢で歩く姿を目に焼き付けた。


「A、写真撮ろう！」
『待って、涙拭いてから 笑』
「いいから、早く！」

教室に帰り、美咲と明日香と写真をたくさん撮る。

「ほら、真司も麻也もウッチーも入って！」
『6人で写真撮るなんて、初めてじゃない？』
「そういえば。みんな、いい顔してね」

6人で写真に収まる。

「内田先輩、いいですか？」
教室の扉を見ると、後輩の女の子達が列を作っている。

『篤人、モテモテだね 笑』
「うるせ 笑」
そういいながらも、篤人は一緒に写真を撮ってあげている。

「Aちゃん、一緒に撮ろうや」
「俺もAちゃんと一緒に撮りたいけん、よろしく」
『うん 笑』

安田君と槙野君と一緒に写真に収まる。

「この写真、待ち受けにするわ」
『安田君、それはやめて 笑』
「ミチ、俺はもう待ち受け画面に設定したわ」
「トンジ、それ消せ」

安田君と槙野君は、相変わらず賑やかだ。

「A先輩」
呼ばれた方を向くと、マリが立っていた。

『どうしたの？』
「卒業おめでとうございます」
『ありがとう、マリちゃん』
「私、また大津先輩に振られました。…でもこれでスッキリしました。ただの嫉妬から意地悪して、ゴメンなさい。それだけ言いたくて。今まで本当にありがとうございました」

そう話すマリの表情はとても明るかった。

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