ラブセレナーデ7

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…もしかしたら、今日こそは

そんな淡い期待を抱え絢子さんの家に土産を持って行っても、いつも玄関で追い返されて。





Aに逢いたい

毎日、想いが積もる。







”具合、どう？”
”熱はまだあるけど、大丈夫。苺美味しかった。ありがとう”

”具合、どう？”
”熱は随分下がったよ。苺のゼリーも完食。ありがとう”






声が聴きたい。
練習後Aに電話するのが、日課となる



「具合、どう？」
『もう熱も無いよ。でもお医者さんには一週間は人に会わないでって言われてるから、大人しくしてる 笑』
「…FACETIMEしない？」
『嫌だ 笑。ボサボサだもん』
「いいじゃん。別に」
『ダメ 笑』



「具合、どう？」
『もう元気。もうすぐ帰るね』
「…FACETIMEしない？」
『嫌 笑』







8日目。
練習後、Aからメッセージが入っていた。

”今日、何食べたい？”






赤信号の度に苛々して。
遅い車に苛々して。


やっと着いた家を見上げると、俺の姿を見て笑顔になったAの姿に、胸が躍った。








『お帰り、篤人』
「…ただいま」


Aが、この家にいる。
当たり前な光景のはずなのに、凄く嬉しくて。




…お帰り、A

玄関でAを抱き寄せようとすると、ヒラリと交わされた。






「なんで？」
『まだ、病み上がりだもん』
「治ったんでしょ？」
『治ったけど。念の為』



キッチンで夕飯を作るAの側にいけば、また軽く交わされて。
それでもAに触れたく抱き寄せると、『もう 笑』と笑ったAがマスクを装着した。



「なに、それ」
『念の為』
「いいじゃん」
『ダメ』







その日の夜、Aはゲストルームで寝ると言い出して。


「大丈夫だって」
『今日はダメ』
「本当に強情だね」
『おやすみ、篤人』




一人ぼっちのベッド。
一週間ずっとそうだったが、今日は全く眠る事が出来ない。


静かな部屋。
一人の空間。





ベッドから抜け出し、ゲストルームへ向かった。







静かにドアを開ければAが気持ち良さそうに眠っていて。
その姿に、また胸が高鳴る。


Aを起こさない様に、同じベッドに静かに入った。
スヤスヤと眠るA。







…お帰り、A。

そのままそっと抱き寄せ、一つキスをする。





Aの香り。
Aの温もり。
Aが、ここにいる。


嬉しくて、幸せで。





今日は、熟睡だな。
これがきっと、俺達に自然な形。

愛しい温もりに幸せを感じながら、目を瞑った。

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