番外編6 麻也SIDE ページ44
信じられない金額のフルーツを抱えた無意識成金男と、練習場からわざわざ1時間もかけて行って1時間も並んだヨーグルトを持ったイケメン(俺)が、絢子さんの家に向かう。
無意識成金男がインターホンを鳴らすと、すぐに「はーい」と絢子さんの声が聞こえた。
「…内田ですけど」
「内田さん?」
「うん」
「どうしたの?」
「……麻也がヨーグルトを買って来て、どうしてもAに渡したいって言うから…」
おーーーーーーーーーい!!
Aに会いたくて仕方無いのは、お前だろう!!
そう心で叫ぶも、そんな嘘をつく無意識成金男が可愛くて仕方無い。
「…絢子さん。Aは?」
インターホン越しに聞く、無意識成金男。
「今ね、寝てるわ」
「…具合は?」
「まだ熱が高いわね」
「…そう」
「本当は玄関を開けてあげたいんだけど。インフルエンザは移ると、大変だから」
「…大丈夫だと思うけど」
「お医者さんにね。看病している人も、あまり人と会わないでって言われてるの」
「へぇ」
「だから、家に入れてあげる訳には行かないの。内田さんも吉田さんも、また週末試合あるでしょ?」
「絢子さん、マスクしてないの?」
「してるわよ」
「じゃ、大丈夫でしょ」
「ダメよ」
「…俺もマスクするし」
ここで俺はプっと吹き出してしまった。
どんだけAに会いたいんだよ、お前。
俺が笑っている事に気づかない無意識成金男は、まだ話を続ける。
「俺の持って来たマスク、99%ウィルスとか花粉とか通さないヤツだし」
「それでも、ダメ」
「日本製のやつだし」
「ダメよ」
「二重にマスクする」
「ダメ」
「あまり息をしないようにするし、マスクは三重にする」
「…ダメよ」
絢子さんの声が震え出した。
一歩も引かない無意識成金男に、きっと笑っているんだろう。
そんな事に気づかない必死男は、まだ話を続けていた。
「早くヨーグルトを冷蔵庫に入れないと、腐っちゃうよ」
「…そこに置いておいて。すぐに冷やすわ」
「俺もフルーツ買って来たんだけど。重いから、きっと絢子さんじゃ運べない」
「…数回に分けて運ぶわ」
「重いって。きっと、15キロくらいあるよ。いや、もっとかな?」
嘘つけ!!
なんとか家に入ろうとする必死男に、笑いを堪えられない二人(一人はイケメン)
押し問答はしばらく続いたが、結局絢子さんは玄関を開けてくれなかった。
トボトボと歩く必死男の背中には、哀愁が漂っていた。
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ライチ(プロフ) - インフルのオチ最高!時々こんな感じがあると笑えます!これからも楽しくそしてドキドキしながら読ませて頂きます!執筆、頑張ってくださいね!応援してます! (2014年2月8日 22時) (レス) id: 5e8b0ee40a (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - にゃけさん» にゃけさん、ありがとうございます!麻也に嵌められましたね 笑。うふふ。そしてウッチーは、数々の失態をしちゃいましたね。あー、楽しかった 笑。続編も出来ましたので、どうかお付き合い下さい! (2014年2月6日 13時) (レス) id: 8c0feb86d7 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - umeさん» umeさん、ありがとうございます!オダジョーの髪型、似合わなそうですよね 笑。続編が準備出来ましたので、そちらもどうぞお付き合い下さい!いつもありがとうございます! (2014年2月6日 13時) (レス) id: 8c0feb86d7 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - やよいさん» やよいさん!!まさかのオダジョーの髪型真似&撃沈です 笑。遅くなりましたが、続編で来ました。これからもお付き合い下さい! (2014年2月6日 13時) (レス) id: 8c0feb86d7 (このIDを非表示/違反報告)
にゃけ(プロフ) - こんにちは(^^)…あれ?急に?と少しドキドキしながら読み進めた上でのインフルエンザのくだり(爆笑)麻也サイド最高です!その後の内田さんの必死な様子からのオダジョー!思わず爆笑してしまいました(^◇^)麻也サイドめちゃめちゃツボです! (2014年2月4日 11時) (レス) id: a41361619d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rockin | 作成日時:2013年12月23日 11時