ラブセレナーデ7

番外編5　麻也SIDE ページ43

気持ちよく眠っていると、ベッドサイドのテーブルに置いてあるiPhoneが鳴った。




まだ夢と現実の間を彷徨っている俺は、布団を頭まで被り寝ようとする。


長時間鳴り続けるiPhone。
やっと切れたと思ったら、再びけたたましく音を奏でた。




時計を見ると、まだ朝の6時。
こんな時間に何度も電話をかけてくるなんて、何かあったのか？




慌ててiPhoneを手にすると、そこの表示されていたのはウッチーの名前。






…何かあったか？
Aはインフルエンザで、絢子さんの家にお世話になってるし。
あの家には、ウッチーしかいない。


ウッチーに？
それともAに何かあったか？





大きな不安が俺を襲い、すぐに電話に出る。








「ウッチーどうした？」
「麻也、今日練習何時に終わる？」
「今日は午前中だけだから、12時には終わるかな」
「そ」
「ウッチー、どうした？」
「なにが？」
「こんなに朝早く。…何かあった？」
「別に。ただ、この前麻也が持ってきたヨーグルトあるじゃん」
「ヨーグルト？」
「そう。Aが、おいしいって食ってたやつ」
「あぁ。チームメートにもらったやつね」
「そう。それ、4個買って来て」
「は？」
「よろしく」
「ちょっとウッチー。あのヨーグルトって、」



ブチっと切れた電話。





…あのヨーグルト、行列のできるお店のやつなんだけど。並ぶのが嫌いなヨーロッパ人でも、平気で1時間は並ぶんだよ。

それに、練習場から車で1時間はかかる場所にあるお店のやつなんだけど









時計は、6時2分。

きっとウッチーは、寂しくて早く起きてしまったんだろう。

寂しくって寝れないって。…子供か 笑。





そしてわざわざあのヨーグルトを買って来いという事は、高熱で苦しいAがなんとか食べれるものを考えた結果なんだろうな。


そんなウッチーが可笑しく、ウッチーの為に行列に並んでやろうと決め、もう一度眠った。









練習後、車で1時間かかるその店に行き、1時間並んだ。
やっと買えたヨーグルトを持って、ウッチーの家に行く。
俺を出迎えたウッチーは、フルーツがたくさん入った紙袋を抱えていた。







ねぇ、ウッチー。


そこのフルーツショップ。
超高級店だよね。
それにウッチーの家からは、1時間30分位かかる場所だよね。
確かその店の苺は一粒で、スーパーに並んでる1パックの苺が買える位の金額じゃなかったっけ？



袋いっぱいに入ったフルーツの金額を頭の中で計算し、目が飛び出そうになった。

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