ラブセレナーデ7

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「ナンパされてたの？」


長谷部さん達と別れると、隣を歩く篤人が悪戯っぽく私を見た。





『うん。ひなちゃんに 笑』
「長谷部さんに、変な事されてない？」
『される訳ない 笑』
「浴衣姿は色々無防備だからね。気をつけてね」
『大丈夫だよ 笑』
「あ。A」
『なに？』
「……マコちゃんと、結婚するの？」
『さぁ 笑』
「さぁ？」
『嘘 笑。絶対に、無い 笑』
「…そ」
『篤人が、そう言ったんだよ 笑』



私の言葉に、フッと笑う篤人。
部屋に到着し、中からは莉子さんと楓さんの話し声が聞こえる。
襖を開けようとした瞬間、篤人に肩を抱き寄せられて。






「明日もここに泊まるから。明日は一緒に風呂に入るよ。昨日、Aが言ったんだからね」


そう言った篤人はニヤリと笑い、私の頬にキスをした。









「あっちゃーん。ビール、もう一本！」
「…お前ら、飲み過ぎ」
「だって料理が美味しいんだもん。ねー、Aちゃん」
『はい 笑』


楽しそうな莉子さんと楓さん。
それに呆れながらも、笑う篤人。









”ごめんなさい。くだらない嫉妬で傷つけて、本当にごめんなさい”




あの日の事を思い出して、胸が痛くなる事はもう無いだろう。









「あっちゃん。早く、ビール！」


空になったビール瓶を篤人に差し出す楓さんと目が合い、「Aちゃんも飲みたいよね」と、彼女がまた無邪気に笑った。









「…こいつら、自由過ぎ」


いつの間にか眠ってしまった二人を見て、篤人が大きな溜め息をつく。
4組並んで敷かれた真ん中の布団で、二人はそれぞれ寝ていた。





「明日は、二人でゆっくりするよ」
『うん』
「明日の風呂、どんな風呂かな。ね、A」


ニヤリと私を見る篤人。
明日のお風呂のお湯は透明じゃありません様にと、心から願った。







「寝るよ」
『うん。篤人は莉子さんの隣でいい？』
「莉子の場所を変えて、二人で並んで寝ればいいんじゃない？」
『気持ち良さそうに寝てるから、可哀想』
「大丈夫だって」
『ダメ』
「俺が、他の女の子の隣で寝ててもいいの？」
『幼馴染みでしょ 笑』
「そうだけど…」
『寝よう、篤人』



私の言葉に、渋々立ち上がる篤人。
篤人が莉子さんの隣の布団に入ったのを確認し、部屋の電気を消した。









翌朝目が覚めると、何故か隣で横になっている篤人と目が合った。


『…どうして？』
「やっぱ莉子、移動させても起きなかったよ」




そう言った篤人は、悪戯っぽく笑った。

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