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温泉の中でひなちゃんと話していると、綺麗な女性が近づいて来た。
「すみません。娘がお邪魔して」
『ひなちゃんのお母様ですか?ひなちゃん、可愛いですね』
「お邪魔でしたでしょう。せっかくゆっくり温泉に入っているのに…」
『全然 笑。ひなちゃんとお話し出来て、とても楽しかったです』
「それなら、良かった」
『家族旅行ですか?』
「弟が連れて来てくれたんです。滅多に会えないから、姪と甥とゆっくり過ごしたいって」
『素敵ですね』
「自慢の弟なんです 笑。ひなは、結婚するって張り切っていて」
『マコちゃん?笑』
「そう。マコちゃん 笑」
ひなちゃんのお母さんは優しく笑いながら、ひなちゃんの汗を拭いてあげた。
「本当にいい弟で。いつまでも私、弟離れが出来ないんです 笑」
『ひなちゃんも、大好きですもんね』
「実は私、弟が好きすぎて、深く傷つけてしまった人がいるんです」
『傷つけてしまった人?』
「弟が社会人になってしばらくして、お付き合いしている子を家に連れて来たんです。その子は本当にいい子だったんですけど、私がどうしても受け入れられなくて」
『…』
「その子が弟と家に来る度、避ける様に部屋にこもったり、出掛けたり」
『…』
「弟も実家に帰って来なくなって、その子ともいつの間にか別れてしまってて」
『…』
「どうしてあの時、大人でいられなかったのか。その子は何も悪い事していないのに、ただのくだらない私の嫉妬があの時彼女を深く傷つけた。謝りたくても、もう謝れない。今でもずっと後悔しています」
目を伏せる、ひなちゃんのお母さん。
それを見たひなちゃんが「ママ。悲しいの?マコちゃん呼んで来る?」と言い、お母さんの頬を優しく撫でた。
重なったのは、楓さんの泣いている姿。
それと前回この温泉に泊まった時の、篤人のはにかんだ笑顔。
部屋に戻れば、篤人はもう寛いでいた。
私を見て優しくフっと笑った篤人は、やはり寂しそうで。
しばらくして、料理が運ばれて来た。
「舞茸の天ぷら、俺の分あげる」
『ありがとう 笑』
「いっぱい食いな」
『うん。ねぇ、篤人』
「ん?」
『…ご飯の後、お風呂入らない?』
「大浴場?もういっぱい入ったから、いい。のぼせる」
『…違う。そこのお風呂』
「……そこの?」
『…そう。部屋についている、露天風呂』
動かしていた箸を止め、私をじっと見つめる篤人。
私の勇気は「A。無理しなくていいから」という篤人の言葉に、消えた。
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ライチ(プロフ) - インフルのオチ最高!時々こんな感じがあると笑えます!これからも楽しくそしてドキドキしながら読ませて頂きます!執筆、頑張ってくださいね!応援してます! (2014年2月8日 22時) (レス) id: 5e8b0ee40a (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - にゃけさん» にゃけさん、ありがとうございます!麻也に嵌められましたね 笑。うふふ。そしてウッチーは、数々の失態をしちゃいましたね。あー、楽しかった 笑。続編も出来ましたので、どうかお付き合い下さい! (2014年2月6日 13時) (レス) id: 8c0feb86d7 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - umeさん» umeさん、ありがとうございます!オダジョーの髪型、似合わなそうですよね 笑。続編が準備出来ましたので、そちらもどうぞお付き合い下さい!いつもありがとうございます! (2014年2月6日 13時) (レス) id: 8c0feb86d7 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - やよいさん» やよいさん!!まさかのオダジョーの髪型真似&撃沈です 笑。遅くなりましたが、続編で来ました。これからもお付き合い下さい! (2014年2月6日 13時) (レス) id: 8c0feb86d7 (このIDを非表示/違反報告)
にゃけ(プロフ) - こんにちは(^^)…あれ?急に?と少しドキドキしながら読み進めた上でのインフルエンザのくだり(爆笑)麻也サイド最高です!その後の内田さんの必死な様子からのオダジョー!思わず爆笑してしまいました(^◇^)麻也サイドめちゃめちゃツボです! (2014年2月4日 11時) (レス) id: a41361619d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rockin | 作成日時:2013年12月23日 11時