ラブセレナーデ7

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2度目の、篤人の実家訪問。
飛行機に乗る頃からの緊張は、篤人のお母さんの笑顔で一気にほぐれていた。





「泊まればいいのにって篤人に何度も言ったんだけどね。今日は幼馴染みとも会うからきっと遅くなるし、それ以降は色々行く所があるからって。どこに行く予定なの？」
『実は、何も聞いてなくて』
「あら。そうなの？」
『はい 笑』


お母さんとの会話を「A。もう行くよ」と、篤人が遮る。





『もう少し、ダメ？』
「ダメ」
『えー』
「Aちゃん。また帰国したら、是非寄ってね」
『ありがとうございます 笑』
「篤人がいなくても、一人でいらっしゃいね」
『はい 笑』


「話し出すとまた長くなるから、早く」と言う篤人に腕を引っ張られ、篤人の実家を後にした。









『…また緊張してきた』
「気を遣う様な奴らじゃないから」
『…うん』
「あ。ここ」


篤人が足を止めたのは、大衆居酒屋。
お店の前で深呼吸する私を見てフっと笑った篤人に「行くよ」と肩を叩かれ、お店に足を踏み入れた。







「…ただいま」
「おかえり、あっちゃん。待ってたよ」
「…楓は？」
「さぁ」


襖の向こうから聞こえる、篤人以外の男女の声。
小さく深呼吸して、部屋に入った。




私を待っていたのは、男の人と女の人の笑顔。
「初めまして。Aちゃんですよね？私、あっちゃんの幼馴染みの莉子です」
「僕は、佐藤蒼。よろしく」


柔らかく優しい二人の笑顔に、また緊張が少しずつほぐれていく。






『初めまして。私、』
「Aちゃんですよね？どうぞ、座って」
『ありがとうございます 笑』


莉子さんが「あっちゃんが大切にしているのが、なんだか分かる気がする 笑」と言えば、「うるさいから」と篤人が少しだけ照れて。
そんな様子を見た蒼さんが「あっちゃん、顔真っ赤 笑」と、また篤人をからかった。





私の前で見せる顔とは違う、幼馴染みの前だけに見せる篤人の表情。
そんな篤人の笑顔から、この仲間がとても深く繋がっている事がよく伝わり、その大切な仲間を私に紹介してくれた事にまた嬉しくなる。

3人の様子を微笑ましく見ていると、目が合った莉子さんがニコリと笑った。




『あの。今日、楓さんは…』
「ちょっと、用事があるんだって」
『そうですか。残念』
「いつか、会えるよ 笑」





莉子さんが笑った時に部屋の襖がスパンと開き、振り向くとそこには若い女の人が立っていて。
その女の人は立ったまま長い時間、静かに私を見つめていた。

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