ラブセレナーデ7

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小さな溜め息をついた篤人が、私の体からゆっくりと離れた。
静かになった部屋には、朝日が燦々と降り注いでいる。



私の体を抱き寄せた篤人の肌は、まだ熱くて。
それがほんの数分前まで二人の体が一つになっていた事を示している様で、なんだかまた恥ずかしくなる。







「…恥ずかしいの？」

意地悪そうな顔で聞いてくる篤人。
それでも私の頭を撫でてくれる手は優しく、また胸がドキンと高鳴る。



コクンと頷くと、更に胸に引き寄せられた。



ドクンドクンと重なる、二人の心臓の音。
ギュっと密着した篤人の素肌が心地良く、体にまだ残る彼の温もりがまた私を幸せにしてくれる。






『…ねぇ、篤人』
「ん？」
『…お風呂に入りたい』
「ダメ」
『…ダメ』
「お風呂に入ってなくても、綺麗だったよ」
『……嘘』
「嘘じゃないから」
『シャワー浴びて来ていい？』
「一緒に浴びる？俺も汗かいたし」
『…嫌』
「ダメ」
『ダメ』
「あのさ。何度も言うけど俺、Aの体の事は隅々まで見てるからね」
『…出来れば、見ないで欲しい』
「それは、無理」
『…じゃぁ、私だって』
「ダメ」
『ズルい』
「ズルくない」



頭上からフっと笑った気配がし、優しい手が私の頭を再び撫でる。


大好きな手。
愛しい人。
幸せな時間。




少しだけ沈黙が走り、篤人が小さく深呼吸した。






「…そういえば、さ」
『ん？』
「あれ、大丈夫だった？」
『あれ？』
「そう。アイツ」
『アイツ？』
「……なんか、電話番号聞かれてたでしょ」
『電話番号？』
「そう。なんだっけ。…旭？とかいうヤツに」


篤人の胸に埋めていた顔を上げると、私を見ていた篤人と目が合って。
チラリと見えた篤人の嫉妬に頬が緩むと「…見んな」と、また篤人が自分の胸に私の頭を引き寄せた。




「で？教えたの？」
『気になる？』
「…別に」
『そう』
「で？教えたの？」
『…秘密』
「は？」
『秘密 笑』
「…」
『嘘 笑。教えてない』
「…ふーん」
『うん 笑』
「何で笑ってるの？」
『笑ってない 笑』
「笑ってんじゃん」
『笑ってないもん 笑』
「へぇ。そう」
『うん 笑』
「A」
『なに？』
「本当はお風呂に入らせてあげようと思ったんだけど。やっぱ、気が変わった」
『…ダメ』
「ダメ」




耳に触れる篤人の吐息に体に力が入れば、またフっと笑って。
咄嗟に篤人から離れようとしたが両手首を掴まれ、簡単に手の自由を奪われる。







”お仕置き決定、ね”

篤人が、ニヤリと笑った。

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