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「ご馳走様でした」
「い、いえ、篤人君。こ、こ、これくらいしかおもてなしが出来なくて…」
「本当においしかったです」
「こ、今度はマグロをたくさん用意しておきます」
お父さんの言葉に「楽しみにしています」と、篤人が笑う。
「お父さん。今夜は、Aさんと…」
「はいはい。聞いています。ふ、ふつつかな娘ですが、こ、今夜は宜しくお願いします」
恥ずかしそうにはにかんだ篤人が「ありがとうございます。では、行ってきます」とお父さんに返し、4人で披露宴会場に向かった。
「歩きにくくないの?」
私の草履を指差す篤人に『少し歩きにくい 笑』と答えれば、歩調をゆっくりにしてくれて。
『大丈夫だよ。急がないと、前の二人とはぐれちゃう』
「別にいいじゃん」
『えー』
「あの二人は、歩く速度が速すぎる」
更にゆっくり歩く篤人。
「なんで、青?」
『着物?』
「そう」
『シャルケの色だから』
微かに聞こえたのは「…似合うじゃん、その色」という、篤人の言葉。
『ありがとう、篤人』
「何か聞こえた?」
『別に 笑』
フっと笑った篤人が私の頭を撫で、「ヤベ。せっかくセットしてもらったのに、乱しちゃったかも」と、また笑う。
私の地元を二人並んで歩く光景が、なんだか嬉しくて。
太陽に照らされた二人の影が、少しだけ寄り添って見えた。
「A」
『なに?』
「今日、あまり飲み過ぎない様に」
『わかった 笑』
「……出来れば、22時にはホテルに帰りたいんだけど」
そう言う篤人の顔は、少し赤くなっていて。
『…わかった』
「……よろしく」
『………うん』
きっと今、私の顔も赤いだろう。
二人とも俯きながら、並んで歩く。
「そこのカップルー!遅い!」
笑いながらこちらに向かって来た晴が「なんで二人ともそんなに顔赤いの?」と、首を傾げた。
「ウッチー。Aと恋人同士なのは内緒ね。色んな人が来るから」
「わかってる」
「Aとは、麻也の幼馴染みだから友達になった。いい?」
「うん」
「同級生の男の子も来るけど。ヤキモチ妬かない様にね、ウッチー」
「妬かないから」
「亘さんにも?」
「…」
「あ、無言だ 笑」
「…誰にも妬かないから」
「へぇ 笑。ウッチーに一番大事な注意点」
「なに?」
「Aを、あまり見ない事。その視線で、ウッチーがAを大好きな事が絶対にバレる」
晴の言葉に「…うるさいから、晴ちゃん」と、篤人の顔が更に赤くなった。
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ライチ(プロフ) - インフルのオチ最高!時々こんな感じがあると笑えます!これからも楽しくそしてドキドキしながら読ませて頂きます!執筆、頑張ってくださいね!応援してます! (2014年2月8日 22時) (レス) id: 5e8b0ee40a (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - にゃけさん» にゃけさん、ありがとうございます!麻也に嵌められましたね 笑。うふふ。そしてウッチーは、数々の失態をしちゃいましたね。あー、楽しかった 笑。続編も出来ましたので、どうかお付き合い下さい! (2014年2月6日 13時) (レス) id: 8c0feb86d7 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - umeさん» umeさん、ありがとうございます!オダジョーの髪型、似合わなそうですよね 笑。続編が準備出来ましたので、そちらもどうぞお付き合い下さい!いつもありがとうございます! (2014年2月6日 13時) (レス) id: 8c0feb86d7 (このIDを非表示/違反報告)
rockin(プロフ) - やよいさん» やよいさん!!まさかのオダジョーの髪型真似&撃沈です 笑。遅くなりましたが、続編で来ました。これからもお付き合い下さい! (2014年2月6日 13時) (レス) id: 8c0feb86d7 (このIDを非表示/違反報告)
にゃけ(プロフ) - こんにちは(^^)…あれ?急に?と少しドキドキしながら読み進めた上でのインフルエンザのくだり(爆笑)麻也サイド最高です!その後の内田さんの必死な様子からのオダジョー!思わず爆笑してしまいました(^◇^)麻也サイドめちゃめちゃツボです! (2014年2月4日 11時) (レス) id: a41361619d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:rockin | 作成日時:2013年12月23日 11時