母性 ページ14
「ねぇAー?」
お風呂上がりで、髪の毛をびしょびしょに濡らした
ツリメが笑顔を浮かべて私のもとに歩いてくる。
「ツリメ、ストップ。垂れてる垂れてる」
私はそんなツリメのことを慌てて制す。
歩くたびにツリメの髪からぽとぽとと水滴が
滴り落ちていき、床を濡らしているのが許せないのだ。
そう、実は私、少しだけ潔癖なとこがあるのである。
特に水回りとか、水関係が嫌。
何故かは自分でもよくわからない。
「言うと思った」
笑顔を浮かべたままツリメが後ろ手で持っていた
ドライヤーを私に差し出す。
「ツリメのお母さんになったつもりはないんだけど」
なんて言いながらもなんだかんだドライヤーを
コンセントに指してツリメを手招きしている私は
超絶に優しい完璧な幼馴染みというやつなのだろう。
「わーい、おかあさーん」
そう言って当たり前のように私の前に座るツリメに
私は軽く苦笑いをこぼした。
ドライヤーの電源をいれてツリメの髪を乾かしていく。
ツリメの髪は染めてるわりには
普通に指通りがよくって柔らかくて綺麗。
まあ、エイジとか私には足元にも及ばないけど。
ふとツリメの顔を見つめると、気持ち良さそうに
目を細めて頭をぐらぐらと揺らしていた。
「……終わったけど、眠いの?」
「ちょっと…」
何て言いつつももう瞼が重くて目が開かないツリメに私は笑う。
「はい、タオルケット。取り合えずソファで寝な」
タオルケットをツリメに投げればツリメは
もそもそとソファに寝転ぶ。
「ありがと…、おやすみ」
「ん、おやすみ」
ツリメの柔らかい髪を撫でて、笑う。
ほんと、お母さんの気分だわ。
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てん(プロフ) - 面白かったです!もっと評価されて良いくらい!続き楽しみです! (2020年1月2日 23時) (レス) id: 09173bd832 (このIDを非表示/違反報告)
すず - 続きないんですか? (2019年12月18日 9時) (レス) id: 5893e9c41f (このIDを非表示/違反報告)
りお - 面白かったです! 続き気になります! 頑張ってください! (2019年11月16日 15時) (レス) id: b0a4c100df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朝凪 | 作成日時:2019年8月23日 22時