盗み聞き（JM Side） ページ38
トイレに行ってくると言って控室からでたテヒョンがなかなか帰ってこない。
迷っているのかな。
僕は心配になって控室を出た。
歩き回っていると、
ふと、廊下の曲がった先からテヒョンの話し声が聞こえてきた。
姿は見えないけれど、確実にテヒョンだ。
同時に聞こえてきたのは、
リンという子の、泣きそうな声。
僕は、その場で立ち止まった。
「テヒョンさんに迷惑がかかると思って」
「あ、だから今日は避けてたんだ。ネットの噂なんて事実じゃないし、全然気にしなくてもいいのに」
泣きそうな声でそう話す彼女に、テヒョンが少し慌てた声色で答えている。
盗み聞きなんて趣味が悪いと思ったけれど、僕はそのまま2人の会話を聞いていた。
「私は････」
彼女がそういって間を置いたとき、次に何を言おうとしているのか分かった。
「私は、テヒョンさんの事が好きなんです」
予想通りだったけれど、僕は思わず下を向く。
「ネットの噂なんて事実じゃない」と言う言葉に、思わず言ってしまったのだろう。
「････うーん、正直驚いてるけど」
顔は見えないけれど、テヒョンの声は僕が思っている以上に落ち着いていた。
「ありがと。でも、ごめんなさい」
答えは、まっすぐだった。
「…お友達からでもダメですか？」
泣きそうな声で、彼女が食い下がる。
「ごめんね。期待させたくないから」
「…好きな人、いるんですか？」
なぜか僕がどきっとする。
テヒョンはなんて答えるだろう。
でも、僕がその答えを考える間もなく、テヒョンは
「うん。いる。
傷つけたくなくて、大好きな人がいるんだ」
その声に、迷いは一切なかった。
僕の盗み聞きはここまで。
音を立てないようそっと踵を返し、控室に戻った。
「ジミンごめん！迷った！」
しばらくして戻ってきたテヒョンは、いつも通りだった。
僕が少しだけ返事に遅れていると、
「ん？何？何かついてる！？」
と自分の顔をペタペタ触る。
四次元、マイペース、気まぐれ。
だけど、本当は誰よりも人思いで、傷つくのも傷つけるのも嫌う。
「なんでもない。帰ろっか！」
僕は、相棒の肩に腕を回した。
もしかしたらテヒョンは、僕よりもずっと大人かもしれない。
恋愛すると余計にそうなるのかな。
同じ年なのに、なんだかちょっと悔しいなぁ。
事実と真実の違い（V Side）→←何かあった？（V Side）
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ちかこ(プロフ) - さやか様 嬉しいお言葉をありがとうございます。この1週間ほど仕事がバタついており更新できず申し訳ありません。待っていただける方がいると書く励みになります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ちかこ (2016年2月27日 10時) (
レス) id: b539f91093 (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - テテペンじゃないのですが、これ以上好きな作品には出会えないのではと思うほど大好きな作品です。本当に言葉選びや間合いや描写がお上手で、ちかこさんのお人柄まで伺えるようです。いつも素敵なお話をありがとうございます。これからも楽しみにしております！ (2016年2月24日 3時) (レス) id: b27862b75c (このIDを非表示/違反報告)
ちかこ(プロフ) - みぃ様 ありがとうございます。段々他のメンバーの絡みも多くなってきて、私も楽しいです！ジン兄さん、小説の中でも残念キャラでごめんなさい…愛すべき残念イケメン！ (2016年2月13日 0時) (レス) id: b539f91093 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 毎回更新楽しみにしてます！中学生テンションのグクに絡まれるテテが面白かったです そして1人何も知らないジンさん…他のメンバーがどんどんで出来て嬉しいです (2016年2月4日 15時) (レス) id: 0f6ae1e55a (このIDを非表示/違反報告)
Robotaxxxx(プロフ) - みぃ様 ありがとうございます！段々と他のメンバーも絡んできそうな雰囲気です…！ (2016年1月31日 0時) (レス) id: 1d1db99c36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちかこ | 作成日時：2016年1月28日 14時
