5月の風 ページ29
『これから帰るよ。酔ってないよ』
飲み会の帰り道、電車のホームでテヒョンにそうメールを打つ。
全く酔っていないと言えば嘘になるが、いつもよりはしっかりと目と頭がさえている。
しかし、さすがは「花金」の終電。
車両に充満するお酒の匂いと人の多さに酔ってしまいそうだった。
『僕も今終わったところ！』
思ったより早くテヒョンから返事があった。
『今日はみんなで収録だっけ？』
満員電車の中、私は少しずつドア側に移動してからそう返事をした。
テヒョンとメールをするときは、偶然にでもスマホの画面が他人の目に入らないよう気をつけている。
『今日はジョングクと2人だけ』
最近彼はチームの活動だけでなく、個人の活動も増えている。
1人や2人だけで番組の出演や雑誌の撮影も珍しくない。
今日はジョングクくんとか。
休憩時間に2人でふざけあっている様子が目に浮かんで、微笑ましくなった。
『気をつけて帰ってね』
時間はもう0時過ぎ。
最寄駅から歩いて帰る私が、バスで帰るテヒョンに言うセリフではないのかもしれないけど。
最寄駅で電車を降り、マンションに続く坂を見上げる。
駅前のロータリーに並ぶタクシーが目に入ったけれど、今日は歩いて帰ることにした。
暦上は「初夏」とも言える5月の温かい夜風が、心地よく吹いている。
イチョウ並木の青々しさにも、もうすっかり慣れた。
そのとき、
私の傍を1台のバスが通り過ぎた。
この時間帯、この道は滅多に車が通らない。
珍しいなと思っていると、
キキーッ
私を追い越した10メートル先で、バスが急停止した。
その音に驚き、私の足は思わず止まる。
な、なんだ…
怖さも感じながら立ちすくんでいると、ガシャッとバスのドアが開いた。
誰かが降りてきて、こちらに向かってスタスタと歩いてくる。
街灯の少ない道路で目をこらす。
あ。
その存在を認識したと同時に、
「ちょっと！ジョングク！！」
バスの中から聞きなれた声が聞こえてきた。
そう。
バスから降りてきて、今、私の前に立っているのは、
ジョングクくんだった。
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ちかこ(プロフ) - さやか様 嬉しいお言葉をありがとうございます。この1週間ほど仕事がバタついており更新できず申し訳ありません。待っていただける方がいると書く励みになります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ちかこ (2016年2月27日 10時) (
レス) id: b539f91093 (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - テテペンじゃないのですが、これ以上好きな作品には出会えないのではと思うほど大好きな作品です。本当に言葉選びや間合いや描写がお上手で、ちかこさんのお人柄まで伺えるようです。いつも素敵なお話をありがとうございます。これからも楽しみにしております！ (2016年2月24日 3時) (レス) id: b27862b75c (このIDを非表示/違反報告)
ちかこ(プロフ) - みぃ様 ありがとうございます。段々他のメンバーの絡みも多くなってきて、私も楽しいです！ジン兄さん、小説の中でも残念キャラでごめんなさい…愛すべき残念イケメン！ (2016年2月13日 0時) (レス) id: b539f91093 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 毎回更新楽しみにしてます！中学生テンションのグクに絡まれるテテが面白かったです そして1人何も知らないジンさん…他のメンバーがどんどんで出来て嬉しいです (2016年2月4日 15時) (レス) id: 0f6ae1e55a (このIDを非表示/違反報告)
Robotaxxxx(プロフ) - みぃ様 ありがとうございます！段々と他のメンバーも絡んできそうな雰囲気です…！ (2016年1月31日 0時) (レス) id: 1d1db99c36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちかこ | 作成日時：2016年1月28日 14時
