終わりの日（V Side） ページ20
「そういえば、Aさんってなんでこっちにいるの？」
花見の数時間前。
撮影がおわり控え室に戻ったジン兄さんがふと尋ねてきた。
「え？」
「いや、だからなんで一人で韓国に住んでいるのかなって」
きょとんと首をかしげる。
……
あれ
えーっと
「え、なに、なんか聞いちゃいけない感じ？！」
何も言わず立ち尽くす僕を見て、ジン兄さんがあわあわとし始める。
「…いや。
えっと・・・・留学」
「あ、留学なんだ。へ〜」
ジン兄さんは満足したように、うんうんとうなずく。
僕は、と言うと、
Aさんが1年間の留学中の身であることを、この時初めて思い出した。
去年の10月に留学の話を聞いてから、なぜか今まですっかり忘れていた。
一番大事なことなのに、なんで忘れてたんだろう。
ふと、控室に貼ってあったカレンダーを見る。
4月も、もう半ば。
あと5ヶ月でAさんは日本に帰ってしまう。
Aさんと見たかった汝矣島の桜。
「終わる時期が分かってるって、なんだか寂しい。儚いよね」
ひらりひらりと落ちる桜に、Aさんが重なった。
せっかく彼女との花見だから、気にしないでおこうと思ったのだけれど、なぜだか急に寂しさが襲ってくる。
彼女が隣に住まない日が来ると想像しただけで、
胸がぎゅっと締め付けられた。
その時、
「また咲くよ。
1年後もまた咲くから。これで終わりじゃないから。大丈夫」
Aさんらしい、穏やかで優しくて。
ふんわりとした笑顔で言う。
きっと僕が何を考えているのかは、彼女は気付いていないと思う。
だけど、自然に出た彼女のその言葉と笑顔が、キリキリと痛んだ僕の心に処方箋のように効いていく。
嬉しくって、なんだか泣きそうになって、
僕は思わず彼女を引き寄せ、そのまま抱きしめた。
このまま。
このまま一緒に。
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ちかこ(プロフ) - さやか様 嬉しいお言葉をありがとうございます。この1週間ほど仕事がバタついており更新できず申し訳ありません。待っていただける方がいると書く励みになります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ちかこ (2016年2月27日 10時) (
レス) id: b539f91093 (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - テテペンじゃないのですが、これ以上好きな作品には出会えないのではと思うほど大好きな作品です。本当に言葉選びや間合いや描写がお上手で、ちかこさんのお人柄まで伺えるようです。いつも素敵なお話をありがとうございます。これからも楽しみにしております！ (2016年2月24日 3時) (レス) id: b27862b75c (このIDを非表示/違反報告)
ちかこ(プロフ) - みぃ様 ありがとうございます。段々他のメンバーの絡みも多くなってきて、私も楽しいです！ジン兄さん、小説の中でも残念キャラでごめんなさい…愛すべき残念イケメン！ (2016年2月13日 0時) (レス) id: b539f91093 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 毎回更新楽しみにしてます！中学生テンションのグクに絡まれるテテが面白かったです そして1人何も知らないジンさん…他のメンバーがどんどんで出来て嬉しいです (2016年2月4日 15時) (レス) id: 0f6ae1e55a (このIDを非表示/違反報告)
Robotaxxxx(プロフ) - みぃ様 ありがとうございます！段々と他のメンバーも絡んできそうな雰囲気です…！ (2016年1月31日 0時) (レス) id: 1d1db99c36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちかこ | 作成日時：2016年1月28日 14時
