儚いのは ページ19
土手に並んで座りながら見る、遠くの桜並木。
「桜って綺麗だけど、どこか寂しくならない？」
ふと、テヒョンが呟く。
彼のほうを見ると、その横顔は遠くの桜並木をじっと見つめていた。
「どうして？」
「すぐに散っちゃうから。
・・・・終わる時期が分かってるって、なんだか寂しい。儚いよね」
春の夜風がテヒョンの細くて透き通るような髪を揺らす。
そう話すテヒョンこそ、今にも消えてしまいそうでなんだか儚い。
寂し気で、どこか憂いのあるその表情。
なにかあったのかな。
「また咲くよ」
私がそう言うと、前を向いていたテヒョンがこちらに顔を向ける。
「1年後もまた咲くから。
これで終わりじゃないから。大丈夫」
特に何か特別な意味を込めたわけではなく、思ったままそう口にした。
けれど、
「わ」
テヒョンが、いきなり私の肩を抱きよせた。
そして
そのまま、ぎゅっときつく抱きしめる。
「・・・ど、ど、どうしたの？」
どきっとする気持ちよりも、今度は驚きのほうが大きい。
何も反応せず、ただ腕の力を強くするテヒョン。
少し間があってから、
「・・・・なんでもない。大丈夫」
抱きしめた体勢のまま、耳元で彼の声が聞こえた。
「Aさん、ほんと好きかも」
…
「え？！？」
全く想定外の言葉に思わず声が大きくなる。
「ど、ど、ど、どうしたの、急に！」
「へへ、なんでもない。ありがと！」
さっきまでの切ない表情はいずこ。
いつの間にかテヒョンの顔は、
嬉しさを噛みしめるような、少しはにかんだ表情に変わっていた。
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ちかこ(プロフ) - さやか様 嬉しいお言葉をありがとうございます。この1週間ほど仕事がバタついており更新できず申し訳ありません。待っていただける方がいると書く励みになります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ちかこ (2016年2月27日 10時) (
レス) id: b539f91093 (このIDを非表示/違反報告)
さやか(プロフ) - テテペンじゃないのですが、これ以上好きな作品には出会えないのではと思うほど大好きな作品です。本当に言葉選びや間合いや描写がお上手で、ちかこさんのお人柄まで伺えるようです。いつも素敵なお話をありがとうございます。これからも楽しみにしております！ (2016年2月24日 3時) (レス) id: b27862b75c (このIDを非表示/違反報告)
ちかこ(プロフ) - みぃ様 ありがとうございます。段々他のメンバーの絡みも多くなってきて、私も楽しいです！ジン兄さん、小説の中でも残念キャラでごめんなさい…愛すべき残念イケメン！ (2016年2月13日 0時) (レス) id: b539f91093 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 毎回更新楽しみにしてます！中学生テンションのグクに絡まれるテテが面白かったです そして1人何も知らないジンさん…他のメンバーがどんどんで出来て嬉しいです (2016年2月4日 15時) (レス) id: 0f6ae1e55a (このIDを非表示/違反報告)
Robotaxxxx(プロフ) - みぃ様 ありがとうございます！段々と他のメンバーも絡んできそうな雰囲気です…！ (2016年1月31日 0時) (レス) id: 1d1db99c36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちかこ | 作成日時：2016年1月28日 14時
