彼は雪合戦に夢中 ページ33
12日ぶりのソウルは冬晴れのいい天気だけれど、出発前よりもずっと寒く感じた。
街はすっかり白い雪に覆われていた。タクシーの運転手によると、一昨日降った雪だという。
タクシーがマンションのゲートをくぐりエントランス前に到着すると、エントランス前の広場で、マンションの住民らしき男の子たちが雪合戦をしていた。
確かに、これだけ積もれば楽しいだろう。
「ありがとうございました」
タクシーの運転手にお礼をいい車を降りる。
と、同時に雪合戦をしている男の子たちのにぎやかな声が耳に飛び込んできた。
「年上なんだからもっと敬ってよ！」
「雪合戦に年齢は関係ない！」
「僕はいつもお前に愛を注いでいるのに…って冷たい！」
「一方的に注がれているだけだ！」
ん？
聞きなれた声が聞こえた気がして、その方向に目を向ける。
そこには雪合戦をする3人の男の子がいた。
その中の一人、
ピョンピョンと軽やかに飛び跳ねながら逃げ回る男の子。
・・・・・テヒョンだ。
視線を感じたのか。彼も私に気が付く。
「あ」
逃げ回っていた足はストップし、動作が止まる。
「隙あり！！」
その瞬間、別の方向から飛んできた雪玉がテヒョンの顔にヒットした。
…あれは痛そう。
容赦のない攻撃者は、ジョングク君だった。
雪合戦をしていたのは、テヒョンとジミン君とジョングク君。
ジミン君は一度エレベーターで一緒になったが、まともに話したことはない。ジョングク君も、引っ越の日に挨拶に行った以来だ。
「なに？誰？知り合い？」
ジョングク君が不思議そうにテヒョンに声をかける。
…そうよね、覚えてないよね。
「お隣に住んでいるAさんだよ」
テヒョンが答える前に、ジミン君が答えてくれた。
「みゃーみゃー」
テヒョンに気が付いたのか。ゲージの中のゴローさんが鳴きだす。
固まっていたテヒョンはその声を聞き、魔法が溶けたように動き出しこちらに向かってきた。
「触っていい？」
目の前まで来ると、ちょっと他人行儀にゲージを指さし聞いてくる。
「…はい」
ジョングク君とテヒョン君の視線を感じ、私も他人行儀に返す。
ゲージを開けると、いつものようにテヒョンはゴローさんを抱きかかえた。
少しの沈黙があった後。
彼は小さな声で一言、
「････おかえり」
私は、緩む頬を抑えきれないまま
「ただいま」
と答えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちかこ(プロフ) - ハル様 ありがとうございます！続編、始まりましたので引き続きよろしくお願いします。デレデレテテ、いいですね〜！ (2016年1月30日 19時) (
レス) id: b539f91093 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 第２部楽しみにしています！！ヌナにデレデレのテテが見たいです！！楽しみです！ (2016年1月23日 2時) (レス) id: a3a9522359 (このIDを非表示/違反報告)
ちかこ(プロフ) - みぃ様 ありがとうございます。この1週間ほど仕事がバタついており全く更新できず申し訳ありませんでした。。劇的な展開も少ないゆる〜りとした話で続きますが、どうぞよろしくお願いいたします。やはりテヒョン続編ですかね〜！ (2016年1月22日 21時) (レス) id: b539f91093 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 更新楽しみにしていました 二人ともすごく可愛くて、これからのSpringもsummerも可愛い二人を楽しみにししています (2016年1月22日 21時) (レス) id: 0f6ae1e55a (このIDを非表示/違反報告)
Robotaxxxx(プロフ) - きむて様 他の方に比べると遅くて本当に恐縮です…大量更新、頑張ります！ (2016年1月4日 15時) (レス) id: 1d1db99c36 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちかこ | 作成日時：2015年11月23日 16時
