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練習終わり。俺はまたシゲと一緒に帰る。
まだまだ夏。半袖でもまだ蒸し暑く、玉の汗が流れる。街灯には蚊の集会の如く集まっている。俺はあいつらに刺されないように虫除けスプレー何重にもかけてるから大丈夫なはず。
シゲは何にもつけてない。シゲらしいけどな。本当に彼は夏が似合うとしみじみ思う。
「今日教えてくれてありがとうな!おかげで助かったわぁ」
「それはよかった。またなんかあったらいつでも言ってな」
「ありがと。俺、シゲに頼ってばっかりや笑」
「ええやんか!神ちゃんだったら、いつ何言われても飛んでくから!笑」
「大げさや!もぅ!」
「ほんまやって!神ちゃんがブラジルおっても地面に穴掘ってそっち行くから」
「やばすぎるって!笑かさんといて!お腹痛い笑笑」
多分だいぶ近所迷惑な声量。夏って無条件でテンション上がるん、わかるやろ?
そろそろ別れる信号まできたところで、シゲが口をひらく。
「神ちゃんさ、.....なんで4年前俺とキスしたくなかったんか教えてくれへん?」
まさかの話題で反応が遅れる。
「っそれは...」
好きな人とあの雰囲気でしたくなかったからです、なんて口が裂けても言えへん。
「俺やからあかんかったん、?」
「ちゃう!ちゃうねんけど...理由は言えへん。ごめん」
「そか、てっきり実は俺のこと嫌いなのかと思っとった笑」
「それは、それはもっとちゃう!シゲのこと嫌いになんてなれへん...」
「じゃあ、あん時俺が本気だったって言ったら?」
「え...?それはどういう、?」
「ごめん。何でもない、忘れて!あ、もう信号のとこまで来てたんやな!神ちゃんまた明日のバイトでな!じゃあな!」
シゲのいつものおちゃらけてない、真面目な顔でそんなことを言い逃げされたら困惑するしかない。
今日の練習の時といい、さっきのことと言い、本当のシゲがわからなくなってくる。
4年前からシゲは俺のこと...?シゲの真意がわからなく、もやもやしたまま。ただ、俺の心臓はいつもの倍の速さで動いている。
「ほんまに分からん」
俺の独り言は生ぬるい夏の空気に吸い込まれていった。
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作者名:ろばたけ | 作成日時:2023年11月10日 2時