あの夏この夏（赤×緑） (ページ14)

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＃14 ページ14

今日の太鼓の練習にて。

「なあのんちゃん。喧嘩太鼓の時の最後ってどう足の重心移動してる？」

「あぁ〜！あそこな！俺もフィーリングでやってんのよなぁ。シゲが得意やでそこ。」

「そっか、ありがと！」

どうしてもわからない箇所があり、のんちゃんに聞いてみたけどのんちゃんに明確な答えが得られなかったので、シゲに聞いてみることにした。

「あぁ〜。そこ難しいよな。そこはなぁ、右手で叩いた時に左手を上ににあげるやん？そん時に重心を左に傾けるんよ。」

「右手で叩いた時に？左に？うん？」

「神ちゃんこんがらがってる笑ちょっと待ってな」

そう言ったと思ったら、シゲが俺の後ろに回ってきて、俺の手と足を動かし出した。

「っ...！？」

「この時に、左いって...そうそうそう、んで、そん時に右手を下に払う......」

俺はシゲに動かされるまま、人形のように動かされている。
丁寧に教えてくれとるのはわかってるんやけど、ありがたいんやけど...!!
身長差的にもシゲの口が俺の耳元にあって、喋ってるんがすぐ近くで聞こえてくる。
全くシゲの言ってることが入ってこない。絶対顔真っ赤だと自覚できるぐらいには、頬が熱い。

いや、のんちゃんと流星ニヤニヤすんなし！
スマホ向けてんの見えてるから！

側から見れば真っ赤な顔した仏頂面の男、と言ったところだろうか。

「どしたん神ちゃん？顔真っ赤やで...」

「いや、別に？何もないで」

「ふふっ、かわええ」

「え！？」

どういうこと？シゲの発言の意味を勘繰ってしまう。
ただ、単純にかわええと言われたことに、頬が上がっていくのがわかる。いや、俺はかっこええって言ってほしいけどな。男やし。
シゲはどういう気持ちで言ったのだろうか。シゲのことだから特に意味もない発言なのはわかっている。経験上思ったことはすぐ口に出す彼。やけど、普通に勘違いしてしまいそうになるからやめてほしいものだ。