あの夏この夏（赤×緑） (ページ2)

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「神ちゃんこっち戻ってきてくれるんやな！？最高すぎるんやけど！楽しみすぎてやばいねんけど！」

”久しぶり！大学夏休みやから太鼓の練習から参加すんで〜”
とのんちゃんにメッセージを送ったら電話がかかってきた。で、開口一番これ笑
大型犬の尻尾をブンブン振っている姿がありありと目に浮かぶ。

のんちゃんとは中学高校一緒の友人。東京の大学に行った俺に定期的に連絡をしてきては、遠距離恋愛しているカップルのようなメッセージが送られてくる笑。あのメッセージを密かに楽しみにしている自分もいる。絶対言わんけど。

「のんちゃん興奮しすぎ笑やって4年ぶりの祭りやねんで？行かない方がおかしいて」
「せやんな。あんな祭り大好きな神ちゃんがおらん方がおかしいもんな」
「そっちのみんなは元気にしてる？俺のこと忘れられてたらどうしよう」
「照史も濵ちゃんもシゲも俺も元気やで！もちろん練習も行くいうてたし！神ちゃんのこと忘れるわけあらへんやん！会う度に神ちゃん元気してるかなって心配してたで」
「それは申し訳ないな。コロナで帰れんかったからしばらく会えてないもんなぁ」

照史と濱ちゃんは俺とのんちゃんの2個上。シゲは1個上。3人とも中学の時からの先輩で可愛がってもらっていた。他にも照史たちの同い年で淳太ってやつがおるけどそいつはアメリカに留学中。しかし毎年祭り当日だけは参加する。

俺は地元の祭りが大好きだ。

市の町内会それぞれで山車を作って一ヶ所に集まり、周辺を練り歩く。
大太鼓と、小太鼓と、竹笛と、鐘と、掛け声が織りなす祭り特有の高揚感。あれに勝るものはないと思っている。夏になれば街全体がお祭りムード。
社会人の男性陣は、働いた後、山車を作りに夜遅くまで作業をする。夜になればそれぞれの町内会からお囃子の練習をしている音がどこからも聞こえてくる。

兄と姉の影響もあり、小さい頃から祭りに参加している俺は、町内の人とはもう家族のようなもん。
毎年毎年「智洋、大きくなったなあ！」と色んな人に声をかけられる。そういえば、町内会長の藤原さん、もう良いおじいちゃんやなぁ。元気にしてるかな、なんて。

"で、なんだけど...." と、のんちゃんが言いにくそうに口を開く。どうしたん？と聞くと、
「もちろんシゲも練習も本番もくるで？大丈夫なん？」
「おん。大丈夫や。やって4年も前の話やで？流石に過去のことになってるやろ。向こうも。」

シゲとは4年前に色々あって連絡は取っていなかった。