78話 ページ38
Oサイド
もう、消えないようにと抱きしめた翔くんは、温かい。
それはきっと、高熱によるものだけじゃないはず。
「ありがとう」
その言葉を聞いた時、気がつけば涙が零れていた。
これでもう、大丈夫。
俺たちはもう、踏み間違えたりしない。
＿＿＿だからこそ
「……翔くん。みんなにも。……ひとつ、提案があるんだ」
踏み出そう。
「最近、自分の能力を悪用する能力者が増えている。……無差別に人を殺したり、殺すのを楽しんだり。……おいら達だって、そうだった」
みんなの表情が、きゅっと引き締まる。
……だって、みんな分かっているから。
「……でも、気づけたよね。互いに傷つけあってから、初めて」
なんども泣いて、苦しんで
やっとたどり着いた、残酷な真実でも
這いつくばって、なんとか乗り越えられた。
「……でも、傷つけあってからじゃ、遅いんだ。……間違っていることを、教えてくれる人がいなくちゃ、人が殺し合う世界ができてしまう」
……だから
「……だから、おいら達で止められないかな？ ……能力者の立場を、変えないまま」
みんなの、特に翔くんの目が、迷いに揺れる。
……そりゃあ、そうだ。
『……俺はね、この力が大嫌い。この力が……この力を持った自分が、大嫌い』
悲しそうに、涙を零してそう言った、彼の表情が、頭にこびりついて離れない。
……おいらは、ひどいやつなのかもしれない。
好き好んで手に入れた訳でもない能力から目を逸らさないで
とてつもなく大きいものと、戦えと言うんだから。
……それでも、おいらは……
「おいらは、この能力を捨てたいとは思わない。みんなを繋いでくれる、大切なものだと思おうから」
どんな秘密を隠していようと、ちゃんと向き合って受け入れてくれる……
「みんなと一緒に、戦いたい」
……これが、おいらの精いっぱいの答え。
みんななら、答えてくれると思うから。
しんと静まりかえった部屋の中。
「……俺は、賛成」
小さく呟いて、ゆっくりと手を挙げたのは
相葉ちゃんだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 700人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
和翔(プロフ) - すんごい泣けます！ 他の小説での活躍も期待してます！ (2015年10月26日 22時) (
レス) id: d71d624c28 (このIDを非表示/違反報告)
なっち(プロフ) - 最後の方は、ずーっと泣きっぱなしでした(ToT)すごく面白かったです！ (2015年7月21日 1時) (レス) id: fe269a1a4c (このIDを非表示/違反報告)
しょーさと - この小説、とってもドキドキして面白かったです！すごく楽しめましたよ！！ お2人とも、お疲れ様でした♪♪ (2015年4月18日 21時) (レス) id: 8ea8d3969e (このIDを非表示/違反報告)
依久 - そろそろ更新してください。ずっと待ってるんですけど。 (2015年4月10日 18時) (レス) id: 3739db1f04 (このIDを非表示/違反報告)
相櫻 魔理沙 - とっても面白いです。更新頑張ってください!! (2015年3月26日 10時) (レス) id: 3739db1f04 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花櫻 ＆ 碧李
x他1人 | 作成日時：2015年1月17日 17時
