５０ 翔side ページ50
和「え…翔ちゃん…？」
翔「ふふ。抜け出して来ちゃった」
和「何やってんの、え、大丈夫なの？」
驚いて身体を起こそうとするニノを、優しく制して
違うんだよ、俺はお前を寝かせに来たの
顔も見たかったけどね？
きっと眠れてないだろうなと思ったからさ
翔「眠れない？」
和「うん…なんか、寝付けなくて…」
翔「さっきまで走ってて、急に寝ろって言われても難しいよな。身体はどう？」
布団を掛け直してやりながら、静かにニノと話す幸せな時間
ニノも少し照れたような顔をしながら、嬉しそうにしてくれて
和「腰と足が重たくなったんだけど、ほら見て。これがあるから大丈夫だった」
布団の中から出てきた左手には、赤いブレスレット
これ着けてるから３０キロ走り切れたんだって
嬉しいよね
和「まさか翔ちゃんと会えるなんて思ってなかったから…嬉しい。ありがとね、翔ちゃん」
翔「さっきの中継の時の顔がさ、ちょっと寂しそうに見えたの。俺も寂しかったから。会えてよかったよ」
和「ん…ゴールするまで頑張るって決めてたけど、やっぱりちょっと寂しかった。寝ようとしても、色々考えちゃって…」
心なしか瞳の水分がグッと増えて
それを隠すように顔を枕に押し付けるニノ
優しく頭を撫でてたんだけど、この様子じゃ眠れそうにないな
翔「身体起こしたらしんどい？」
和「しんどく、ない…」
翔「ならおいで、ほら」
俺もベッドに上がって、ニノの身体を抱き起す
胸元に凭れかかるように抱えてやると、俺を見上げたニノの瞳から一筋涙が零れた
何も言わずに涙を親指でグッと拭ってから、眠れるように身体をトントン叩いて
ユラユラとそのまま揺れていると、段々とニノの目が眠たそうに閉じてきた
１０分もしないうちに眠りに落ちたニノ
起こさないように、そーっと身体をベッドに寝かせる
夜が明ければ、また１人での闘いが始まるんだ
もちろんブレスレットに俺達の気持ちは込めた
でも、初めてのマラソンランナーで、１２０キロという大きな挑戦
生放送のプレッシャーと、腰の不安、過酷な猛暑…
色々なものを、この小さな背中に背負って頑張ってる
普段見せない涙が零れたってことは、それだけ不安だったんだ
少しの時間だけど、会えてよかったよ
翔「おやすみ、ニノ」
静かに声をかけて、俺は武道館へと戻った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 345人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るんるん(プロフ) - 何年越しでも、、密かに待っていたので嬉しいです！ (2022年10月9日 2時) (
レス) @page49 id: 5f4c3622e1 (このIDを非表示/違反報告)
kammostsluvamos(プロフ) - 更新嬉しいです！楽しみにしてました！ (2021年5月27日 18時) (レス) id: e05623e0c3 (このIDを非表示/違反報告)
はぐ(プロフ) - かなりお久しぶりにここへ来て読ませて頂きましたがやっぱり風月さんのお話しのニノちゃん可愛くって好きだなぁ(*´▽｀*)続きもまた楽しみにしてますね！ (2019年9月7日 23時) (レス) id: 8801631f59 (このIDを非表示/違反報告)
ニノ担 - 長編が見れません (2018年12月28日 21時) (レス) id: 9f8d06ec79 (このIDを非表示/違反報告)
tuki - すごく面白いです。更新がんばってください！続きがすごく気になります。 (2018年10月27日 19時) (レス) id: b5e1612a7d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：風月
| 作成日時：2018年10月14日 1時
