only you

第一印象（想side） ページ8

想 side


おはようと挨拶をしながら、いつものように教室に入る



俺の後ろの席が空いていた



いつも必ず俺より先に座って、イヤホンで曲を聴きながら
ぼーっと窓の外を眺めているAちゃんが今日はまだ来ていなかった



. . . 初めてだ、珍しいな

寝坊でもしたのかな

ふと気になって湊斗に聞いてみる



想「あれAちゃん今日休み？」

湊「あ、たぶん遅れてくると思うよ」




俺の問いにそう即答する湊斗。

なんで知ってるんだろう


想「なんで湊斗知ってるの？」


湊「1年の頃からAちゃん月に3〜4回
休んだり遅れて登校する時があったから、
俺、Aちゃんの分もノートとってたんだ」


想「そうなんだ、、、、」



なんか家の用事なのかな



そういえば俺、Aちゃんのこと何も知らないな





ただ。





時々とても暗い表情をすることは知っている


彼女がたまに見せる悲しそうな、
苦しそうな瞳をするのは何故なのか


気になるが本人には聞けない


なぜか、、聞いたら今の関係が崩れそうな気がして

いつも知らないふりをしてしまう


いつか話してくれるだろうか



.



.



.



.





− 4月 −


新しいクラスに入り自分の席を見つけ、


机に荷物を置いたとき


ふと、後ろの席に座り窓の奥の桜を見つめる彼女に目がいった


初めて彼女を見た時



肌が白くて華奢で、


薄ピンクの


桜色の唇と頬


栗色の艶がある髪



こんなにきれいな子この学校に居たのか



桜の花のように儚く、風が吹いたら今にでも消えてしまいそうだ



それが彼女を見た時の印象


『桜 Aです。よろしくお願いします。』


名前を聞いた時は本当に驚いた


桜 A・・・


彼女の名前、桜が入ってるんだ



鈴のような、
小さいけど綺麗な声で自分の名前を言う
後ろの彼女にとても惹かれた



今思えば一目惚れだったと思う

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