only you

ごはん �� ページ32

想「美味しいね」


目を大きく開いて、ニコニコしながら
美味しいと手話をする姿がかわいい


犬みたいで、見えるはずのない
ふわふわな毛の耳が見えるようだ



『良かった、うまくできた』



しっぽを振るワンちゃんみたいな顔をする彼にそう返す


想「また、食べたい」


自分が作った料理を褒められるのは嬉しいし
また次もがんばって、おいしく作りたいって思う


想くんもひとり暮らしをしているため

ある程度の料理は作れる


前にチャーハンを作ってくれて、おいしくて

お母さん以外の手作りの料理が久しぶりで

嬉しくて余計においしく感じた


『今度は一緒に作ろう。作り方教えるね』


コクンともぐもぐしながら想くんが頷く



想「でもAちゃんが作ってくれる料理なら
なんでも美味しいし、1番美味しい。

それをAちゃんと一緒に食べるのは
もっと美味しい」


『うん、ありがとう。

でも想くん、

喉つまらせるからゆっくり食べて(笑)』


頬いっぱいに詰めてもぐもぐしながら

私を見て手話で伝えてくれるけど

その想くんの姿が少し面白くて

あまり内容が入ってこなかった


.



.



.


自分が使った料理を


好きな人がおいしいって言って食べてくれる



何気ない日常。



この幸せがずっと続くといいな



そう願って私も箸を進めた

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