再会 ページ22
何も言わずにこのまま帰ったほうがいいのかも
しれない
でも、
目の前で
不安がにじみ出ている想くんの優しい目を見たら
そんなことしようという気がなくなっていた
声で伝えることはできないため、
私はスマホのメモ機能を開いて文字を打つ
何も言わずにただじっと私を見つめる想くんに
《 声が出ない 》
そう打った画面を静かに見せる
目を大きく見開き少しの間想くんの動きが止まる
少し考えた後私の目をまっすぐ見て、
想「俺、耳が聞こえなくなるんだ。
今もほとんど自分の声が聞こえないから
ちゃんと話せてるか分からない」
悲しそうな、苦しそうな目で
震えた声で
無理して笑ってそう話す想くん
だから・・・病院にいたんだ
抱いた疑問が消え、なぜかスーっと納得した
私はさっきと同じくスマホに文字を打つ
《 話せてるよ。発音もきれい。》
画面を見せると
少し優しい顔でふっと想くんが笑った
そして自分のバックからスマホを取り出し
なにやら文字を打ち始めた
想〈 いつもこれで会話してるの? 〉
スマホの画面を指さしながら
私に文字を見せてくれた
首を横に振り、
その言葉に対する返事を文字にする
《 普段は手話で会話してるよ 》
その画面を見せるとカタンっとスマホをテーブルに置き、
想俺まだ習い始めたばっかりで、
簡単な手話しか分からないんだ。ごめんね
ゆっくりと手で言葉を紡ぎ、申し訳なさそうに笑う
私もそれに返すように
普段よりも少しゆっくり手を動かす
『謝らないで。すごく上手だよ』
私の言葉に
にこっと少し微笑んで
目の前の彼はまた、言葉をスマホに打ち込み始めた
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なな - ありがとうございます!無事読めました! (8月4日 7時) (レス) id: 5c12264889 (このIDを非表示/違反報告)
渼桜(プロフ) - ななさん» 0時に公開予定ですので、もう少しお待ちください! (8月1日 23時) (レス) id: 456b2554b3 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 素敵な作品をありがとうございます!もしよろしければ、続編を読むためのパスワードをも教えて頂きたいです。 (7月31日 6時) (レス) @page50 id: 5c12264889 (このIDを非表示/違反報告)
渼桜(プロフ) - えぬさん» この拙い文章を読んでいただいたことが嬉しいです。納得がいかずに訂正することも多いですが、、、。もう少しだけお待ちください! (7月26日 23時) (レス) id: 456b2554b3 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ - とても素敵な作品で大好きです。続編も楽しみに待っています。 (7月26日 22時) (レス) id: 56dc9f9a48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:貂 | 作成日時:2023年6月25日 16時