only you

出会い �� ページ3

− 1週間後 −


目の前に広がる桜の花


存在感のある大きな桜の木を見上げて


あっという間に1年が経ったんだ



と感じていた




.




.







今日から新しいクラスになる


この学校は、勉強に集中するために
クラス替えは2年に上がる1度だけである。


今日が最初で最後のクラス替え


目の前はザワザワと新しいクラスを見るために多くの生徒で賑わっている


最初に決めていた通り、この1年は静かに過ごしたおかげで友達はいない。


私は自分の席を確認するだけのため、
この人だかりを早々に抜け自分のクラスへ向かう


人と関わるのが苦手


・・・いや、


��怖い��という言葉の方が適切かもしれない


中学で部活を辞めてから

他人と関わること、

人を信じることに恐怖を感じるようになった


それから段々と人に興味を持たなくなり、

トラウマなのか人の名前と顔を覚えることがとても苦手になった


だから新しいこのクラスで去年同じクラスの人は居るかもしれないが、私には分からない。


・・・覚えていられないから


唯一、家族や先生以外で会話をするのは戸川くんだけ


黒板に貼られた座席表を見ると


デジャブかのように私の席は窓側の1番後ろの席だった


1年前と同じく、イヤホンをして外の桜を眺める



トントン



右肩を優しく触れられ、


右耳のイヤホンを外して振り向くと


湊「桜さん！3年間同じクラスだね(笑)」


そう言ってピースサインをこちらに向けて
眩しい笑顔を見せる戸川くんの姿


『戸川くん！よかった、同じクラスかぁ〜
あと2年間よろしくね』


湊「よろしく！」



唯一の知り合いがいて少し安心する



少し話して戸川くんは自分の席につき、他の男子と話し始めていた



このまま、何もなく


ふつうに。


刺激なんていらない


普通の平凡な毎日を過ごせれば、



それでいい。



ぼんやりとそんなことを考えて



またイヤホンを耳につけて



桜を見つめた




私は、



私の人生は、



あの桜のように美しい瞬間はないし



キレイに散ることも、きっと・・・ない

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