only you

声 ページ18

それから半年後、





お母さんは亡くなった






お母さんに言われていたとおり、
いとこの春尾正輝さんの所に行って事情を説明した



春「姉さんに君のことは頼まれてたから、大体のことは知ってますよ。
姉さんのこと支えてくれてありがとう。
大変な時に1人にしてごめんなさい。」



お母さんも春尾さんも何も悪くないのに



ごめんね


ありがとう



って言葉をくれる



悪いのはお母さんとお父さんの、



家族を壊した私なのに。



春尾さんの壊れそうなくらい、

怖いくらい優しい笑顔と

包み込んでくれる温かさに涙がとまらなかった




後日、簡単ではあるが私と春尾さんで葬儀を行った



そのあと、バイトを1つにしようと手続きをしていたとき
体の疲れと喉に違和感を覚えた



��きっと無意識にストレスが溜まっていたんだ��



そう思って春尾さんに病院に着いてきてもらおうと
連絡するために電話をかけてから気づいた



声が出せない



出せないというよりも話しているつもりだったけど
声が出ていなかった



ノートとペンを持ち病院に1人で行ったところ


" 心因性失声症 "


そう診断された



大学の勉強もバイトもお母さんのことだけを
考えて頑張ってきていた


結局お母さんが亡くなって
本当に��ひとりぼっち��になってしまった


ずっとそんなことばかり考えていたせいなのか、


体が精神的なストレスに耐えられなかったんだろう




左耳もほとんど聞こえないことに加えて声まで出せなくなってしまい、これからどうやって
コミュニケーションを取ればいいんだろう




春尾さんに病気のことを伝えたら
「手話をやってみるのはどうですか？」



と言われて


一人で生きて行くには必要かもしれないと思い


春尾さんから毎日手話を教わった

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