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紫耀「 遅かったやん、見つかった? 」
「 … う、ああ、見つかったよ! 」
… 忘れた。携帯を取りに行ったはずなのに。
紫耀「 あれ、なんか顔赤ない? 」
「 ほ、ほら!走ったから! 」
紫耀「 急がんでもよかったのに 」
嘘をついた。
平野くん。
そんな綺麗な瞳で嘘にまみれた私を見つめないで。
… もう、嫌になる。
自分が不器用すぎて。
どうして自分で自分の気持ちがわからないんだろう。
紫耀「 … きょうはさ、 」
「 うん? 」
紫耀「 さようならしようと思うねん 」
「 … え? 」
ぽつんと小さな光が
私たちを月明かりのように照らす公園。
そこに差し掛かったとき、
平野くんは繋いでいた手を離して
私の一歩前に立って振り返った。
… さようなら?
別れる、ってこと?
紫耀「 … 自分の気持ちに素直になった方がええで 」
「 ちがう、 」
紫耀「 違わんって。
不器用すぎるねん、Aちゃんも … 廉も 」
おれが背中押さなあかんくらい、
見てられへんくらい、不器用なんやもん。
そう言った平野くん。
… なに、それ。
紫耀「 ふたりとも不器用なくせに優しいから。
おれがいてるせいで素直になられへんかったんやろ? 」
「 ちがうってば! 」
紫耀「 … もう嘘つかんでいいから。
最後くらいほんまのこと言って笑って?
おれが好きになった笑顔で 」
笑って!って。
平野くんは人差し指で私の口角を上げた。
… こんなに平野くんを傷付けてたなんて。
やっぱり私、自分のことが嫌いになっちゃう。
紫耀「 悔しいけど、廉とおるときの笑顔が
いっちばん可愛いし、おれは好きやったで 」
「 … うん、 」
紫耀「 だからほら!
廉と幸せになって、またあの笑顔見せてよ 」
「 …… 平野くん、ごめんね 」
紫耀「 あの信号右に曲がったら
もうひとつ公園があるから、そこを左に曲がる。
そしたら白っぽい家が見えるから。
… 行っといで、廉のとこ 」
ありがとう、ありがとうって。
泣きながら伝えると、
だから笑ってってーって平野くんが笑う。
トン、と背中を押されて
ありがとうって平野くんの声を背に私は駆け出した。
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(名前)さつき(プロフ) - すごく面白かったです!キュンキュンしました!突然申し訳ないんですが、春色アンスリウムのパスワード教えていただきたいです。お願いします (2017年5月23日 22時) (レス) id: e87250dd4e (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - とても、感動しました!なんか、共感できる部分とか沢山あって、読んでてとても楽しかったです!この作品の続きを作って欲しいです! (2017年2月19日 3時) (レス) id: fb9d0c4421 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - お疲れ様でした!らぴさんの紡ぐ世界観がとっても好きで、こちらの作品も毎回楽しみに読んでいました!終わってしまって寂しいですがこれからも頑張ってください!ありがとうございました! (2017年2月18日 22時) (レス) id: fd193a6e8e (このIDを非表示/違反報告)
るか(プロフ) - すごく面白いですこの作品いま一番好きです!更新楽しみにしてます!頑張って下さい!! (2017年1月12日 23時) (レス) id: 524d0559c1 (このIDを非表示/違反報告)
まにか - はじめまして!らぴさんの小説読ませていただきました!どれも、すてきな作品ばかりで1つ1つの作品にキュンキュンしてます(笑) 登場人物の心情も程よくわかり、とても繊細な作品なだなぁと思いました!特に、ネセサリー・トリックがよかったです! (2017年1月6日 0時) (レス) id: 789440deae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らぴ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2016年11月30日 21時