不器用ロマンチカ

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「 … っ、なんで 」




教室に入ると、
同じように何かを探している永瀬がひとり。

… 最強に気まずい。


すぐ携帯取って平野くんのとこに戻ろう。





廉「 … なあ 」

「 な、なに 」

廉「 ごめん 」




その声と同時に後ろから伝わってきた永瀬の体温。
許して、って。
耳元で聞こえる甘い声。

やめてよ。やめてよ。


ぐらんぐらんと気持ちが揺らぐ。


… ああ、もう。頭が痛い。





廉「 やっぱおれ、お前以外は無理 」

「 …… 」

廉「 お前が紫耀と … って考えるのも無理 」

「 … ながせ 」

廉「 ごめん、好きやわ 」





… やめて。

やめてほしいのに。


振りほどけなかったのは私の意思が弱いせい？
永瀬の抱きしめる力が強いせい？

それとも私も永瀬が好きだから？





廉「 お前には紫耀がいてんのに。
変なことしてごめん、デート楽しんできて 」

「 … ばかじゃないの 」

廉「 ごめん 」

「 楽しめるわけないじゃん！
自分勝手に抱きしめてきたりしてさあ！
惑わすようなことしといて楽しんできてって
そんなの無理に決まってるじゃん！ 」





平野くんが好きなのに、
平野くんが好きなのに！

… 好きなはずなのに。


振りほどけなかった自分が、
こうやって揺れる自分が。

あわよくば永瀬と、なんて思う自分が。


嫌いだ。





「 … ごめん、 」

廉「 おれこそ、ごめん 」





謝ってばかり。

そうやって謝るのなら
はじめっからしないでよって。


振り返ってしまったら負けだと思ったのに
自分の思いなんて無視をして。

振り返れば永瀬が俯いていた。




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