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退院当日。
約束通り、蘭が迎えに来てくれて病院を後にした。今までと夫婦関係が大して変わる訳ではないのに、一緒に家に帰るというだけで何処か緊張が走っていく。
慣れ親しんだ玄関に入ると気が抜けて、走っていた緊張はいつの間にか淘汰していた。部屋の奥へ進んで行くにつれ、蘭の足取りはゆっくりになっている。そんな事を気にも留めず、リビングへ行けば、目の前に広がる光景に目も当てられない。
「……A、ごめん。」
すかさず謝罪の言葉を口にする蘭。開口1番怒られると思ったのだろう。部屋の中はありえないくらいにごちゃごちゃとしている。今までは私が掃除をしていたから比較的綺麗であったが、1週間と少しでここまで散らかせるのはある意味一種の才能とまでも思えてくる。
帰ってきて早々でコレは流石に怒りたくもなる。……けれど、ここはグッと言葉を呑み込んだ。
「いいよ、別に。……蘭も掃除するの手伝ってよね。」
「手伝わせてください。」
随分と下手に出てくるモンだ。しゅん、としている蘭はまるで怒られた後の大型犬みたいだった。
「蘭は、私が居ないとダメだもんね？」
半ば冗談で言ったつもりだったが、後ろから強くハグをされて耳元で情けない声が聞こえてくる。
「そうだよ、Aが居ないとダメ。」
きゅん、としたいのは山々だけれどこの状況ではまずときめくよりも先に掃除を優先させたい。帰って早々掃除をする羽目になるとは想定していなかったが、まあ……いっか。
「とりあえず、先に掃除ね。」
蘭と一緒に散らかった部屋を黙々と片し、無事に綺麗な状態に戻すと同時に一息ついた。ソファにどかっと座るまでの私達はかなり早かった。ふかふかの背もたれに寄りかかってだらん、と体を委ねていた。
疲れてボーッとしていると不意に握られた手。蘭の顔に目をやると久々に見た穏やかな笑顔だった。
「……Aが生きててくれて、本当に良かった。」
ぽとりと落とした言葉に身体が勝手に反応した。
「蘭にもずっと生きてて欲しい。……私、蘭の傍にいて邪魔にならないかな。」
反社の彼の邪魔になるかもしれない。その事実だけがまだ頭の片隅に残っていた。言葉の意味を察したのか、蘭は迷う事なく綴るように唇を動かした。
「邪魔になんかなる訳ねえだろ。何も起こらないように俺が守るし。」
「……ん、そっか。」
中身のないような会話が続く。でも、今は……それだけで十分に幸せを感じられる。
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メイ(プロフ) - 最後まで読みました！！めっちゃ面白かったです！！ありがとうございました！！ (4月14日 19時) (
レス) @page50 id: 036127fc08 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - はるかさん» 初めまして、コメントありがとうございます✨️そう言っていただけてとても嬉しいです…！ありがとうございます。完結まであともう少しお付き合い下さい♡ (3月26日 0時) (レス) id: 4a9b8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
はるか - 作者から作品を探すぐらいさきなさんの書くお話が好きです。更新楽しみにしています。 (3月24日 1時) (レス) @page37 id: 2fa442bcb8 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - リハさん» 初めまして、コメントありがとうございます✨️とても嬉しいです♡更新ちまちま進めていきますね🫶🏻 (3月16日 0時) (レス) id: 4a9b8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
リハ - とても面白くて大好きです！更新ファイト❣️ (3月15日 22時) (レス) @page28 id: fb4d5611fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきな。
| 作成日時：2024年2月23日 0時
