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二日酔いなんてものは存在していないけれど、アルコールを一気に流し込んだせいで足が重くなったような気がする。
きっと、想像以上に浮腫んでいる顔を鏡に映したら酷く絶望する事だろう。
ダブルベッドには私、独りだけ。眠っていたであろう温もりも残り香も一切感じられない。
気まずさが勝り、リビングのソファにでも眠っているはずだ。反省しているような素振りを見せたって簡単には許してあげない。
プライド高い蘭の事だ。私の様子を伺いながら絆せそうなタイミングをつけ込もうとしているに違いない。そんな事したってもう遅い。
私は何度も見ないフリ、気づかないフリをしていた。それを良い事に調子乗って女遊びをしていた事実が消える事は一生無い。
……それに決定的な証拠だって私は持ってるんだもん。
何年も目を瞑ってあげたのに、辞めなかった蘭が全部悪い。
接待のキャバクラはともかく、家に女連れ込んでいる時点でアウトだし。ていうか、女の痕跡くらい跡形もなく消す努力しろよ。
養って貰っている気弱な『A』は何も言えないだろうと高を括っていた罪はかなり重たい事を教えてやるんだから。
やられたらやり返すなんて方法は子供じみているけれど、今の蘭にそれを咎められる筋合いは無い。
仮にも私と蘭は戸籍上はまだ夫婦。とか言っても、蘭が言い出さなければ離婚なんてする気は更々無い。
……でも、籍を入れる前の蘭は絶対に幸せにしてくれると思ってたのにな。
震える手で、私の手をゆっくりと握りしめて「家族を捨てて俺と一緒になって欲しい、俺が絶対に守るし幸せにする。」なんて一丁前に格好良い事言っていたのに。
男は所詮、口先だけ。
その時の互いの気持ちなんて容易く忘れてしまう。傍に居る事が日常になって溶け込んでしまえば、日々の大切さも何もかもどうでも良くなってしまう。
過去に置き去りにした言葉を私は引き摺って、家族も捨てて此処に居るのに。
なぁんて、感傷に浸る間もなく今夜も蘭が仕事で家を空けている間にSNSで話題になってたバーに足を運ぼうとしている。
蘭の前ではお酒が飲めない女を演じていたから、その反動で昨晩久々に飲んだらあまりにも美味しくて衝撃を受けた。
お酒の味ってあんなに特別なモノに感じたっけ?と思わされるくらい。
半袖以外の露出はしないようにしていたけれど、それも解禁。暫くは私の好きなようにさせてもらう。
それで、ちょっとは浮気に懲りればいい。
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メイ(プロフ) - 最後まで読みました!!めっちゃ面白かったです!!ありがとうございました!! (4月14日 19時) (レス) @page50 id: 036127fc08 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - はるかさん» 初めまして、コメントありがとうございます✨️そう言っていただけてとても嬉しいです…!ありがとうございます。完結まであともう少しお付き合い下さい♡ (3月26日 0時) (レス) id: 4a9b8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
はるか - 作者から作品を探すぐらいさきなさんの書くお話が好きです。更新楽しみにしています。 (3月24日 1時) (レス) @page37 id: 2fa442bcb8 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - リハさん» 初めまして、コメントありがとうございます✨️とても嬉しいです♡更新ちまちま進めていきますね🫶🏻 (3月16日 0時) (レス) id: 4a9b8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
リハ - とても面白くて大好きです!更新ファイト❣️ (3月15日 22時) (レス) @page28 id: fb4d5611fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2024年2月23日 0時