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37 蘭side ページ38

「あ、蘭さ〜ん♡」

作り物の可愛さを主張する猫撫で声で腕をぎゅっと絡めてくる嬢。わざとらしく胸を押し付けて欲が煽られる。俺よりも嬢の方が下心があるのではないか、という行動だ。

しかし、目の前の挑発じみた誘惑には乗らず、緩く絡んだ腕を解いた。

俺の顔を怪訝そうに大きな瞳で見つめられる。きっと、以前の俺だったら接待終了後に嬢をVIPルームに連れ込んで一線を越えずとも嬢の肌に触れていたのだろう。

「ごめんな、大事な接待があるから。」

残念そうに「え〜」と声を漏らした嬢はいつも通り可愛い。けれど、そんな感情以外は不思議と何も沸いてこなかった。接待なんて嬢を遠ざける口実に過ぎない。もうAを傷つけるような事をしない為にも、必要最低限女と関わらないようにする。

絶対相手にはたいして面白みのない仕事や金の話をして、お得意の御託を並べて相手を丸め込んでいった。1枚の札と同じくらい薄くペラペラな言葉で納得する接待相手がバカすぎて反吐が出る。言葉巧みに操られ、翻弄されて……金持ちがこんなにバカで大丈夫なのかとこちらが心配になってしまう程だ。

営業スマイルという名の渾身の美貌を相手に見せつければ、容易く向こうも笑顔を見せた。

「今日はお時間頂きありがとうございました。」

空虚に響いて淘汰する言葉に深い意味はない。俺は梵天にとって利益になる事をした。接待相手を見送り、姿が見えなくなった頃にやっと息をついた。

接待をすると心身共に疲弊する。そんな時によく嬢を呼び出していたが……やるべき事は終わったし、九井に連絡だけして家に帰るつもりだった。

「蘭さん、お疲れ様です♡」

「あ、お疲れ。……悪いけど、マジで疲れたから家帰る。」

「え〜なんか今日、素気なくて悲しい。いつもならVIPルームに連れてってくれるのに。」

期待に満ちた瞳と見え透いた誘い受け。グラつくどころか早く解放してくれとすら感じてしまう。

「本当にごめんな〜。」

適当に謝って帰ろうとすると、嬢が会話を続けようと必死な様子が伺えた。

「VIPルームは三途さんが使ってるからダメかぁ〜」

「三途?」

三途が私用でVIPルームを利用するとは思えなかった。そもそも、アイツは潔癖拗らせてるし、尻軽女は嫌いだ〜とか言って普段は寄り付かないし。

「三途さん、最近綺麗な女性をVIPルームに連れ込んで親密そうに話してるんですよ〜。」

三途が惚れ込んだ女なんてどうでもいいが、何だか胸騒ぎがした。

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設定タグ:東京リベンジャーズ , 灰谷蘭 , 梵天   
作品ジャンル:アニメ
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メイ(プロフ) - 最後まで読みました!!めっちゃ面白かったです!!ありがとうございました!! (4月14日 19時) (レス) @page50 id: 036127fc08 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - はるかさん» 初めまして、コメントありがとうございます✨️そう言っていただけてとても嬉しいです…!ありがとうございます。完結まであともう少しお付き合い下さい♡ (3月26日 0時) (レス) id: 4a9b8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
はるか - 作者から作品を探すぐらいさきなさんの書くお話が好きです。更新楽しみにしています。 (3月24日 1時) (レス) @page37 id: 2fa442bcb8 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - リハさん» 初めまして、コメントありがとうございます✨️とても嬉しいです♡更新ちまちま進めていきますね🫶🏻 (3月16日 0時) (レス) id: 4a9b8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
リハ - とても面白くて大好きです!更新ファイト❣️ (3月15日 22時) (レス) @page28 id: fb4d5611fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さきな。 | 作成日時:2024年2月23日 0時

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