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……腹部の激痛に耐えられず、目が覚める。
朝の目覚めとしては最悪そのもので、恐らく月に1度の悪魔が襲ってきたようだ。
昨晩、変にネガティブで思考回路がぐちゃぐちゃだったのにも納得がいった。スマホアプリを開くと予定日は今日で合っている。
幸いな事にシーツは汚れていない。早いうちにトイレに駆け込むと、案の定であった。
今よりも痛みが酷くなる前に鎮痛剤の体内に入れておきたいところだ。
鎮痛剤は確か棚の中に入っていた気がする……と激痛の走る腹部を手で摩りながら棚の前まで歩いた。
引き出しの中を開けると鎮痛剤の箱を見つけ、手に取る。
しかし、随分と持った感覚が軽い。揺らしてみるが、箱の中からは薬の転がる音はしない。まさか、と思い恐る恐る箱を開けた。
案の定、箱を開けると薬は1つも入っていない。
そういえば、先月使い切ったかもしれない。あまりの痛みで箱をゴミ箱へ捨てる事も考えられずに棚の中に戻してしまったのだろう。
事前に確認しておけばよかったと今更後悔してもどうにもならないが過去の自分を一層恨んだ。
近くの薬局は早朝はまだ開いていない。24時間営業の薬局はここから歩いていくのには遠すぎる。
1日目は特に酷く痛みが続く日でもあり、薬なしでは動く事が出来ない。大通りまで出れば、早朝でもタクシーが通りかかるかもしれないし、最低限の身なりを整えてから薬局に行く事にした。
洗面台に立つと酷い顔色で色の無い唇をしていた。まるで浄化しきれなかったゾンビのようだ。
まだソファで眠っている蘭を起こさないようにリビングを通り過ぎる。
外へ出ると早朝の空気はとても澄んでいた。この時間帯特有の静けさみたいなものも少しだけ心地よかった。
のろのろと澄んだ空気の中を歩き、何とか大通りまでやってきた。数台ではあるが、タクシーが道を走っている。
数台通り過ぎ、やっとの思いでタクシーを捕まえる事に成功した。目的地を伝え、薬局で停車したらそのまま待っていて欲しいとお願いをする。
薬局で無事に鎮痛剤を購入し、タクシーに急いで戻る。
まだ蘭の昼食用の弁当や朝食を作っていない。こんな痛みの中で蘭と喧嘩なんてしたくない。
ペットボトルの水を買ってすぐに服用すれば良かったが、そんな事は頭の中からすっかり抜けていた。自宅に戻ったらすぐに薬を飲めば問題は無いだろう。
ズキズキと痛む腹部をゆっくりと撫でて自宅へと向かった。
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メイ(プロフ) - 最後まで読みました!!めっちゃ面白かったです!!ありがとうございました!! (4月14日 19時) (レス) @page50 id: 036127fc08 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - はるかさん» 初めまして、コメントありがとうございます✨️そう言っていただけてとても嬉しいです…!ありがとうございます。完結まであともう少しお付き合い下さい♡ (3月26日 0時) (レス) id: 4a9b8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
はるか - 作者から作品を探すぐらいさきなさんの書くお話が好きです。更新楽しみにしています。 (3月24日 1時) (レス) @page37 id: 2fa442bcb8 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - リハさん» 初めまして、コメントありがとうございます✨️とても嬉しいです♡更新ちまちま進めていきますね🫶🏻 (3月16日 0時) (レス) id: 4a9b8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
リハ - とても面白くて大好きです!更新ファイト❣️ (3月15日 22時) (レス) @page28 id: fb4d5611fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2024年2月23日 0時