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カクちゃんには本心を伝えたけれど、竜胆くんに本心を伝えたら蘭の耳に入るのではないかと警戒している。
綺麗事を並べるのは簡単だけど、竜胆くんの解釈によっては、蘭への伝わり方もだいぶ変わるだろう。
伝わり方によっては面倒くさい事にもなる。どのように言葉を返すのが最善で賢いのか考えていると私よりも先に竜胆くんが言葉を紡ぐ。
「兄貴には絶対言わないから。もし告げ口したら俺の事殺していいよ。」
流石は反社、というべきなのか。発想と発言が物騒である。驚かすつもりも脅しているつもりも一切ないのがまた怖いポイントである。
でも、そのくらい絶対に言わないという竜胆くんなりの意思表明でもあるのだろう。
「そんな事はしないけど、蘭には何も言わないって約束してくれる?」
「勿論。」
「じゃあ、話すね。実は……」
蘭が浮気していた事も過去に蘭にされて嫌だった話を順を追って説明しながら話していく。はじめは竜胆くんも相槌を打って聞いていたが、話が進んでいくにつれ表情が曇っていった。
次第に、顔を歪めてドン引きしているようにも見えた。運ばれてきた料理を口に運び、ゆっくりと咀嚼して呑み込んでから口が開く。
「兄貴、最低だな。」
地声が低い竜胆くんは更に低い声でぼそりと呟くように言葉を吐き捨てた。数秒後には大きな溜息を零す。
「それであんな風に浮気し返してやるとか息巻いてたって事か。」
浮気がトリガーになっただけ。前から洗脳されかかっていたが、心の限界を迎えていたのだろう。
とはいっても、義弟に浮気してやる宣言をするのは良くなかったかもしれないと猛省中。
そんな思いを過らせていても高級店の料理の味は美味。舌鼓を打ち、堪能していた。噛めば噛む程に肉汁が溢れてきて口の中に広がっていく。
何度か咀嚼を繰り返して飲み込むと、するりと喉を通っていった。
暢気に料理を味わっていたのも束の間、刹那彼が零れ落とした言葉に箸を動かす手が止まる。
「浮気相手、俺にする?」
とんだご冗談を、と返事もせずに再び動き出した箸持っている手。口の中に肉を運んで一時の幸せに浸っていると湿り気のある瞳で私を見つめる彼。
「え、無視?」
一応、竜胆くんなりの提案だったらしい。
「旦那の弟と浮気する趣味無いよ。そんなのキモいし無理。あ、竜胆くんは勿論凄い良い男だけどね?」
「マジでそれが素?」
捲し立てるようにつらつらと御託が並んでいくと竜胆くんはぽっかりと口を開けつつ言葉を紡いだ。
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メイ(プロフ) - 最後まで読みました!!めっちゃ面白かったです!!ありがとうございました!! (4月14日 19時) (レス) @page50 id: 036127fc08 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - はるかさん» 初めまして、コメントありがとうございます✨️そう言っていただけてとても嬉しいです…!ありがとうございます。完結まであともう少しお付き合い下さい♡ (3月26日 0時) (レス) id: 4a9b8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
はるか - 作者から作品を探すぐらいさきなさんの書くお話が好きです。更新楽しみにしています。 (3月24日 1時) (レス) @page37 id: 2fa442bcb8 (このIDを非表示/違反報告)
さきな(プロフ) - リハさん» 初めまして、コメントありがとうございます✨️とても嬉しいです♡更新ちまちま進めていきますね🫶🏻 (3月16日 0時) (レス) id: 4a9b8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
リハ - とても面白くて大好きです!更新ファイト❣️ (3月15日 22時) (レス) @page28 id: fb4d5611fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきな。 | 作成日時:2024年2月23日 0時