wishing＿.*･ﾟ (ページ41)

今日:10 hit、昨日:4 hit、合計:21,063 hit

＿40 ページ41

·

『····』

紙を見たまま言葉を発さない紫耀

なにを考えているのかまったく分からない程真顔で私もなにを話せばいいか正解が分からない

「＿＿彼が紙を見ました！！さあ！なんと書かれていたのですか！！？」

興奮を隠しきれないアナウンスに生徒たちの期待度も痛いほど伝わる…

真っ先に紫耀にバレてしまったんだ

もう、諦めるしかないのか・・

するとポンッと肩に重みを感じ顔を上げると

まるで"大丈夫"と聞こえてくるくらいの微笑みを見せる紫耀と目が合った

紫耀は思いっきり息を吸って、

『.......安心できる人！！！！！！！』

校庭に響き渡った

「＿＿.....安心できる人ということはもしかしてそういう気持ちをお持ちなんですか綾瀬さん？！！！」

無理やりすぎるこじつけにも関わらず生徒達はさらに盛り上がる

＿＿え！まさかの告白？！！！

＿＿ヒューヒュー！！！！

校庭に響き渡るガヤは勢いを止めない

混乱でどうしようも無い私の頭はパンク寸前で視界がぼやけてきた

・・・もうやだ。やっぱり出なきゃ良かった

現に紫耀にだって迷惑をかけてしまっている

「.....ごめｯ、」

『....え、』

無意識に発した言葉と同時に私の目から一筋涙が零れた

『....菜美、こっち、』

「....え、」

おもむろに紫耀に腕を引っ張られ、

本部のテントまできた

『この子体調あまり良く無いみたいで、申し訳ないんですけどこの辺で終わってもらえませんか？』

「....ｯ」

紫耀はいつも通りのトーンで先生達に話し出す

＿＿体調悪かったの？！

＿＿無理しちゃってた？！

先生や生徒会の人達の慌てぶりに私は返す言葉がなく下を向く

『....あの、それと、』

紫耀の声のトーンがさっきより少し下がり

『....その場のノリと勢いであまり話を進めないで下さい。そのノリが誰かのプレッシャーになることもあるんです』

『.....この歳になって少女漫画と現実が違うことくらい分かってるはずです』

怒りを含むその意見にその場にいる全員が息を飲むのがわかる

紫耀は"失礼します"と頭を下げ

つかんだままの私の手をもう一度引っ張り

再び歩き出した
·