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「ただいま〜..」
かえってくる声もないのだから言う意味が分からない一言を放つ
時計はもう少しで21時をまわろうとしている
この時間に誰かがいた試しはないから別にどうも思わない
弁護士の父とその秘書の母親
父は弁護士界ではかなり有名な方らしく、仕事が耐えない
そんな父の秘書の母は私よりも父に付きっきりなため、ほぼ毎日家に誰もいない
毎晩深夜に帰ってきて、早朝に家を出ているため、私と顔を合わせるのは月に2.3度あるかないか・・
"入学おめでとう。温めて食べて"
そう書かれた紙の横には申し訳程度のお祝いとしてだろうか
赤飯が置いてあった
私はそれを冷蔵庫にしまった後、せっかくの楽しかった気持ちが台無しにならないように、冷たい感情を洗い流しにお風呂へ向かった
シャワーに打たれながら思う
私、最後にお母さんと話したのいつだっけ
お父さんと顔合わせたのいつだっけ
思い出せないくらい月日がたっているのだと分かって出てきた感情は、悲しみではなく呆れだった
そもそもこの家族になにも期待してない＿
お風呂からでて携帯を見ると4件の通知
亜希"楽しかったよ！明日からよろしくね！"
廉"いい暇つぶしになったわ"
2人らしいなんとも真逆なメッセージに少し笑いながら返信をして、残りの2件は..
"紫耀"
トーク画面を開くのになんでこんな緊張してるんだ私
2人と同じようにスムーズに指が動かない
10分が経った・・
時計を見ると日付が変わろうとしている
ということは
紫耀がメッセージをくれてから何時間もたっているのだと気がついた
やばい、早く返さないと
フーっと息を吐いてトーク画面をタップして開く
"今日はありがとね！"
もうひとつは
"明日さ、最寄り駅から一緒に学校行かない？"
一気に早くなった鼓動に認めざるを得なかった
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作者名：木苺 | 作成日時：2022年8月26日 1時
