ワガママ (ページ30)

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＿＿神

俺は岸くんや紫耀を通じてAに出会ってない

あれは、ほんとに偶然

いや今思えば必然的だったのかな

とある夏の日

いつも通りレッスンやら、打ち合わせやらで事務所へ

デビューは出来るのかな

このままズルズルいってしまうのか

この時の俺の頭の中はそんなことばかりだった

時計を見るとまだ時間まで1時間ある

少し寄り道していこうと思って

1番に目に付いたのは本屋さん

あ、そういえば先週新刊でたんだっけ

少年漫画のコーナーをざがして奥の方へ

すると、ある一角に雑誌コーナーがあって

中には先輩が表紙を飾っているものもチラホラ

あ、木村拓哉さんだ

惹き付けられるようにその雑誌に目を通してみると

隣に同じ年代くらいの女の子が来た

ん？まずいかな

今日帽子もマスクも持ってきてないじゃん、、

こうなったら新刊は次の機会にしようと

手に持っていた雑誌を置いて出入口へ足を向けた時、

神「·······ｯ！」

隣にいた女の子が雑誌を鞄へ入れていた

え、まって、どうしよう。万引きだよね。

こんな間近で犯罪を目の当たりにすると声を出そうにも出なくなってしまう

そうしているうちに女の子はそそくさと出入口へ

女の子が出入口を潜ろうとした時、

＿＿＿ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ！！

女「·······！！？」

店「どうしました？！！」

女「······あの、ｯ、」

店「·······これは？」

防犯のベルが鳴り、店内は騒然

店員さんが慌てて裏から出てきた

女の子が驚いた時に鞄から落とした雑誌を手に取って

問い詰める店員さん

明らかに動揺する女の子

すると、女の子は出入口のすぐ横のコーナーにいた子を指さして

女「·····こ、この子ｯ！この子がぶつかってきて、そしたらその子の鞄からこれがｯ、、」

神「·······え、」

店「·····そうなんですか？」

まさかの濡れ衣って、、

いや店員さんも信じちゃダメでしょ

まあ、どうせ否定されてバレるだろうけど

『··········すみません、私です、』

女「········ｯ！」

神「··········は、」

店「········一緒に裏来て貰える？」

そのまま店員さんと裏へ消えていったその子

なんで？庇ったのか？

神「あ、玄樹？ごめん、ちょっと遅れる」

その日俺は初めて遅刻をした

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