欲求不満

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…







壱「本当に帰るの？ここに泊まっていけば良いやん」


『明日も仕事ありますし、帰りたいので。ありがとうございました。』


壱「いや、送ってく。家教えろ」


『え…、あ、ありがとうございます』





階段を降りると

さっきの金髪さんが興奮した面持ちで言う。





「え、さっきの匂い、お姉さんのですか？」





お、おねーさん…？





壱「そうやけど、こいつ俺のだから、手出すな」


「へえ、壱馬さんが惚れたヒトなんて、尚更興味わきました。ね、樹さん？」


樹「…俺は別に」





あの茶髪さんは、樹って名前なんだ。

肝心な金髪さんの名前は分からないまま

川村壱馬に外まで引っ張られる。





「あれー、ナイスタイミング？」





車に乗り込もうとした直前に

前から聞き覚えのある声がする。





『北人…！』



北「その子、俺の彼女なので、勝手なことしないでもらっても良いですか、川村さん？」


壱「あー、あんたが噂の幼馴染？北人クンだっけ？何で俺の名前知ってるかは知らんけど、Aはお前のこと恋人だとは思ってないみたいやで」


北「有名人だもん、そりゃね。でも少なくともAはあんたの物でもないよ。ほらA、一緒に帰ろ。」





2人が何を言い合いしてるのかよく分からず

立ち尽くしたままでいると

北人に手を引かれ抱き寄せられる。




北「はい、お別れの挨拶して」


『え…えっと、すいません。今日は北人と帰ります。色々とありがとうございました』


北「てことで、さよーなら」





そう言って、川村壱馬に背を向ける。

本当にこの別れかたで良かったのかな…？







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