勿忘草 ページ45
「…済まなかったね、私が君たち2人に任務を任せたばっかりに…」
森はAを優しく抱き締めながらそう云った。
だんだん涙がおさまってきたAは森の腕の中で横に首を振る。
「……話してくれるかな？」
Aは森の腕の中から抜け、森の目を見据えた。
『…春菜と、意見が食い違って、喧嘩になりました
最初は口だけだったんですけど、だんだんとお互い手が出てしまって』
『…その喧嘩の根本は、春菜がアーバンを殺すと言い出した
…だから、私が止めた』
そのアーバンはあの後、軍警に引き渡され、今は拘置所だ。
『…私は、どんな凶悪犯でも、どんな脅威の異能者でも、殺したくない…
…でも、アーバンを殺そうとした春菜の目は本気だった』
『……異能を発動する心算は無かった…
でも、私は異能連発した跳ね返りと、アーバンの血液の所為で春菜に負けると、本能が云ったのッ…
そしたら……反射的に異能が……』
「もういい、もう判ったよ…」
森は再度Aを抱きしめた。
そう、Aのそれは不可抗力だった。
春菜に一線を超えて欲しくなかった。
春菜の手を汚したくなかった。
春菜を守る一心だった。
Aは誰よりも春菜の為を思っていたのだ。
その夜、太宰と中也の元へも足を運んだ。
2人は笑ってくれた。
ｺﾝｺﾝ
『Aです、失礼します』
「おやAかえ、大丈夫かね？」
『はい、大丈夫です、ご心配お掛けしました』
Aがそう告げると、尾崎が口を開いた。
「……春菜もね、数日前に私の部屋に来たのじゃよ」
『え？』
Aは少し目を見開いた。
「…あの子は、お主に謝りたかったそうじゃよ」
『……………え…』
Aは驚きと嬉しさと切なさで溢れた。
それを尾崎が優しく抱き締め、
「…お主は自分を責めるな
春菜の事を助けたかったのじゃろ…？」
その言葉が聞こえると、Aは静かに涙を流した。
そして、深呼吸をしたAは花束を手で握り締め、春菜の部屋のドアを開けた。
『…春菜、勿忘草だよ』
Aは花瓶に勿忘草を刺す。
そして、春菜の左手を握りしめる。
『…お姉ちゃん…春菜のこと一生守り抜くって…言ってたのにね…』
Aは眉を下げて呟く。
『私の所為でこんな目に合わせちゃったね、本当にごめんね』
Aの目には涙がうっすら浮かんでいる。
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mi(プロフ) - 遥か彼方さん» えぇありがとうございます！！！全然自信なくて…こういうコメント頂けると本当に励みになります！更新頑張って参りますので、宜しくお願い致しますm(_ _)m (2021年7月26日 22時) (
レス) id: 008ae2747a (このIDを非表示/違反報告)
遥か彼方(プロフ) - とても、面白いです！頑張ってください！しています！ (2021年7月26日 20時) (レス) id: 584d470f98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：myu | 作成日時：2021年7月12日 23時
