A1.たいちゃん ページ29
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「虫さんいつになったら彼女連れてくるの?」
白い歯を覗かせながら、りょう君は目を細めて笑う。夜のてつや家のリビングで、僕はちょうどAに 撮影終わったよとラインを入れたところだった。
「こんなくさいとこ連れてこれんでしょ」
「明日予定ないって!Aちゃん」
問いかけに、なぜか僕と同じタイミングで答えるてつや。
「え、なんでお前がAの予定わかるの」
「ラインしたら明日空いてるって」
「え、なんでお前のライン返ってきて僕のラインは既読つかないの。てかいつ交換したの」
「まあ、細かいことは気にするな」
そんなこんなで、ついにこのタイミングがきた。そう、メンバーにAのことを紹介する日。
「は、はじめまして、Aです…」
「おうおう、すげぇ警戒してんじゃん」
翌日。てつやの家に連れてきたのはいいけど、自己紹介の場で僕の背中にひっついて離れないA。顔だけのぞかせて挨拶すると、としみつがそれを煽った。
「としちゃん、僕の彼女にいじわるしないで」
「Aちゃんここ座っていいよ」
Aの緊張なんかお構い無しにりょう君が椅子へ誘う。くそー、この伊達男には正直、Aを会わせたくなかった。
「そんな強張らなくていいよ。家主にはもう会ったんでしょ?」
「あ、そうです。てつやさんには会ったことあります」
「そういえばA、なんでてつやのライン知ってたの?」
「先生と来た後に何回かガスト来てくれたんだよ、その時に教えてくれた」
あいつ、僕はちゃんと卒業してからAとライン交換したのに、先に手を出しやがって!まだ寝てるから、コップに水を注いでぶっかけてやろうか。
「てか、まだ先生って呼んどるの?虫さんのこと」
「え、ずっと先生って呼んでたから…今更なんて呼んでいいか…」
としみつはAの 先生 呼びにフェティシズムを感じたのか、僕のことを変態と罵ってきた。こいつ、若い子がいるからってちょっと調子こいてんのがわかる。
「太紀って呼べばええやん」
「そんな、年上だし」
「でも虫さんは彼氏でしょ」
「そ、そうなんですけど…」
としみつとりょうは、完全にAのこと弄ってるな。でもちょっとテンパってるAも新鮮で可愛い。
そんなAに助け舟を出すように、それまで一言も発さなかった奴がぽつりと呟いた。
「たいちゃん」
「…あ、それなら呼べるかも」
あ、ゆめまるそこにいたんだ。と言うわけで、僕は今日からたいちゃんになりました。
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遥乃。(プロフ) - miさん» いえいえ! 首を長ーくして待ってます! (2018年11月8日 0時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 遥乃。さん» 優しいお言葉ありがとうございます(T_T)自分のペースで更新していきます〜 (2018年11月7日 9時) (レス) id: 1f8135c296 (このIDを非表示/違反報告)
遥乃。(プロフ) - まぁ、盗作は論外ですが。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
遥乃。(プロフ) - miさん» 遅れるも何も、好きな小説を好きな時に好きなように書くサイトなんですから、気にしちゃダメですよーw 実際の小説家たちみたいに締め切り日があるわけでもないし。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 遥乃。さん» 遅れて本当にごめんなさい!待っててくださると嬉しいです〜〜!! (2018年11月4日 21時) (レス) id: 1f8135c296 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未詞 | 作成日時:2018年6月25日 16時