Q25.どうしてですか？ ページ25
.
「そういえばね、わたしもプレゼントあるんだ！」
そういって、バッグから先生へのプレゼントを取り出した。先生は え、と驚いたように目を丸める。
「僕もAからプレゼント貰えるなんて思わなかった」
嬉しそうにふにゃふにゃと笑う先生。先生もわたしに倣って中身を開ける。先生が持ってない色かつ、地味にも派手にもならないようにと選んだブラウンのネクタイ。細かいネイビーのドットがあしらわれた、遊び心のあるデザイン。先生に絶対似合うと思ってチョイスした。
「いいね、これ」
「お仕事でつかってね」
「お仕事かぁ…」
「ね、ケーキ食べよう！花火消していい？」
お互い箱をしまって、フォークを手に取る。わたしはふぅ、と花火に息をかけて火を消した。つまんで引き抜いた花火をお皿の隅に避ける。
普段買うような300円くらいのショートケーキなんかとは全然味が違う。クリームが濃くて、いちごも甘くて、こんなに美味しいって思えるのは、大好きな人と食べてるからなのかな。先生もおいしいねってにこにこしてた。けど。
「A」
わたしがてっぺんのいちごにフォークを刺したとき、先生の表情は少し曇っていた。
「なに？」
「僕、このネクタイあんまり使ってあげられないかもしれん。ごめん」
先生が深刻そうにそう言うから、なんだか嫌な予感がしてくる。デザインが気に入らなかった？それとも、Aのこと嫌いになっちゃった？
「僕、」
先生はグラスに口をつけて、ゆっくりとシャンパンを飲んだあと、こう言った。
「教員やめるんだ」
「…え？」
フォークを手から離してしまい、お皿にカチャンと嫌な音を立てて落ちた。
「正確には、もう籍はない。辞めてる。終業式の日が最後だった」
「なんで、どうして」
目頭が熱くなって、涙が溜まるのがわかる。
「あー…A、泣かないで。悲しい話じゃないから」
「だって、先生のいない学校なんてやだもん…っ」
「じゃあ、ケーキ食べながら聞いて。先生も切り出し方が悪かった、ごめんね？」
オレンジジュースを飲んで、ひとまず先生の話を聞くことにした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 516人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遥乃。(プロフ) - miさん» いえいえ！ 首を長ーくして待ってます！ (2018年11月8日 0時) (
レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 遥乃。さん» 優しいお言葉ありがとうございます(Ｔ＿Ｔ)自分のペースで更新していきます〜 (2018年11月7日 9時) (レス) id: 1f8135c296 (このIDを非表示/違反報告)
遥乃。(プロフ) - まぁ、盗作は論外ですが。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
遥乃。(プロフ) - miさん» 遅れるも何も、好きな小説を好きな時に好きなように書くサイトなんですから、気にしちゃダメですよーw 実際の小説家たちみたいに締め切り日があるわけでもないし。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 遥乃。さん» 遅れて本当にごめんなさい！待っててくださると嬉しいです〜〜！！ (2018年11月4日 21時) (レス) id: 1f8135c296 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未詞 | 作成日時：2018年6月25日 16時
