Q3.卒業まで待てますか? ページ3
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「したくなるから、そういう事言わんでくれる?」
そういうと、Aは顔を赤らめてすこし固まった。自分からチューするよって言ったくせに、こういう大人ぶってるところが本当に可愛い。でも、僕は教師で、Aは生徒で。お互い好意があることは なんとなく分かってるけど、それをはっきり伝えてはならない。
「ほら、用が済んだならお子ちゃまは帰りな」
Aが本を返したことを確認して、下校を促す。すぐ前に伸びる階段で下に降りようとすると、ワイシャツをきゅ、とAに摘まれた。
「どうしたの、A」
正直言って、もうやめてほしかった。とっとと帰ってほしかった。それは、Aにこういうことされるのが嫌だからじゃない。Aが笑いかけるだけで、Aが僕を見るだけで、Aに触れられるだけで、僕は教師として侵してはならない領域に踏み込んでしまいそうになる。
「先生、いかんで」
「なに、先生困っちゃうよ」
「まだ離れたくない」
ワイシャツを掴んでるのに、Aの震えとか、熱とか全部伝わってる気がしたのは、僕がそうだからなのだろうか。僕は、Aのその手を解いて、小指と小指を絡ませた。ゆびきり。僕のしたことに、Aはすこし意外そうな顔をしている。
「先生、ちゃんとAのことすきだよ」
「すき…?」
「どういうすきかは、まだ言えない」
生徒として好きとか、異性として好きとか、その辺の線引きをはっきりさせてしまうと、もう止まらない気がした。この恋には、まだすこしの予防線が必要だ。お互い幸せになるには、時間がかかるのだ。
「でも、この前も言ったけど、Aが卒業したら絶対に伝える だから待ってて」
「そのゆびきり?」
「そうだよ」
そういうと、Aの小指に少し力が入った。
夕焼けを浴びるAは、なんだかいつものAより大人っぽく見えた。
Aが卒業するまで、あと数か月。
卒業まで、僕のこと好きでいてくれますか?
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遥乃。(プロフ) - miさん» いえいえ! 首を長ーくして待ってます! (2018年11月8日 0時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 遥乃。さん» 優しいお言葉ありがとうございます(T_T)自分のペースで更新していきます〜 (2018年11月7日 9時) (レス) id: 1f8135c296 (このIDを非表示/違反報告)
遥乃。(プロフ) - まぁ、盗作は論外ですが。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
遥乃。(プロフ) - miさん» 遅れるも何も、好きな小説を好きな時に好きなように書くサイトなんですから、気にしちゃダメですよーw 実際の小説家たちみたいに締め切り日があるわけでもないし。 (2018年11月6日 1時) (レス) id: fb9388dbfe (このIDを非表示/違反報告)
mi(プロフ) - 遥乃。さん» 遅れて本当にごめんなさい!待っててくださると嬉しいです〜〜!! (2018年11月4日 21時) (レス) id: 1f8135c296 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:未詞 | 作成日時:2018年6月25日 16時