桃と嘘が君を食べた (ページ8)

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桃と桜のはなびらページ8

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彼が発したその名前は、私の弟の名前と同じだった

『みずき、くん、』

「…うん、

みずき、でいいよ」

隣いい？と私の隣に腰を下ろした彼が私の顔をのぞいた

「美術学部…？」

『あ、うん！

私は絵画専攻だよ』

そっか、と少し口角を上げた彼は桜の木を見上げた

あまりにも綺麗なその横顔を解像度の低いの懐かしさを感じながら、

じっと見つめてしまった

数秒も経たないうちに彼の顔が私の方を向いて

私の顔を不思議そうに見つめた

『みずきくんは、何の専攻なの？』

「ぼくはね、工芸の専攻だよ」

その言葉に、

小さいころに瑞稀が長年祖母が大事にしていた亡くなった祖父手作りの茶碗を割ってしまい

父にこっぴどく怒られたことを思い出した

祖母は、「じゃあ、瑞稀が大人になったら作ってもらおうかね」

いつもの優しい笑顔でそういった祖母に

『瑞稀には出来ないよ！』と茶化したところで

私まで父に怒られたのだった。

どこまでも似通っているふたりに、

少し畏怖の念を抱いた

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