私たちは嘘をつきました【紫】 (ページ40)

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感情が迸ったらページ40

収録は終わり、楽屋に戻るとマネージャーの中山さんが来ていた。

「お疲れさま、今日も輝いていたわよ」

『ふふ、いつもそう言ってくださりありがとうございます』

中山さんはバラエティの収録を見た後はいつもこう言ってくれる。私が緊張しているのを知っているからだ。

「でも、途中で言葉に詰まった時があったね。どうしたの？」

『それは…』

不意に鳴り出す着信音に「あ、ごめんね」と中山さんが電話をとったのでどこか安心した。言えるはずない。深澤さんのことを考えていた、なんて。

「わかりました、今から向かいますので。失礼します」

「ごめんね、本当はこのままAちゃんのこと家まで送るつもりだったんだけれど本部で急遽会議が入っちゃって」

『いえいえ、全く大丈夫です』

「これ、渡しとくわね」

そう言って袋を渡されると紙袋いっぱいに手紙が入っていた。「ファンレターもこれだけ量があったら一種の凶器になるわね」と少し笑いながらも「たくさんの人があなたのことを応援してるからね」

『はい、応援に応えていけるようにこれからも頑張ります』

楽屋のソファに座り、何気なく手紙を何通か手に取り一つずつ開けていく。

”応援しています”
”演技がとても好きです”
”デビューした時からずっとずっと好きです”

時々厳しい意見や批判もあるけれどそれはほんの一部であとは背中を押してくれるような言葉ばかりで、こんなに私は見てもらって支えてもらっているんだと実感する。次の開けたら、あとは家に帰って読もう。そう思って手にとったのは灰色の封筒。いつもは柄が入っていたり、明るめの封筒が多いから珍しいなと思いながら開けて手紙を取り出そうとすると何かバラバラと落ちた。拾い上げたが、またすぐに落としてしまった。

『え…』

そこに映っていたのは私だった。しかも、店で服を選んでいる時に遠くから撮られたもの、中山さんの車に乗ろうとしているところ、テレビ局から出て来たところなど様々だった。

…何これ

一緒に入っていた手紙も見ると

「ずっと
　

　見ています」

それだけ書いてあった。