私たちは嘘をつきました【紫】 (ページ19)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:41,892 hit

＿＿＿＿＿＿ページ19

そう言ったら今度は目をまんまるくして固まってしまった。

あ～まぁそうだよねえ。

そうして、なんとか連絡先を渡してその場は去った。あんまり長く話してると周りも何か気づいちゃうと思うし、康二もそろそろ話が終わりそうだったから。

連絡、くるかな。

たぶん来るだろうとはおもうけれど、どこかほんの少し不安もあった。

夕方には仕事が終わってその日はすぐ帰ったけれど、
ずっとソワソワしてた。
マナーモードにしがちな携帯のマナーを切って何かと見たけれどグループラインが活動していたり、公式のLINEやら、知り合いやら。

その間にご飯もお風呂も済ませてしまって本来はもう寝れるけれどそんな寝れるはずもないからゲームでも、とコントローラーに手を伸ばした時

ピロン

着信音が響いた。

ロック画面には名前は出ないようにしてるから、急いでロックを開けてみると、そこには待っていた名前が表示されていた。

返事はすぐにしちゃだめだってってどこかの歌がそう言ってたけれど、そんな待てるはずもなくすぐ返事した。あくまでもいつも通りな感じで。

そして多少強引だけれど、食事に誘ったら意外にもすぐに日程が決まった。

万が一に備えて、別々の時間帯にお店に入りお店の中で待ち合わせをした。
ここは知り合いのお店だから入ってしまえばあとは大丈夫。
先に俺が入るようにしていて、そろそろ来るかな～と思っていたらドアの開く音がして思わず少しビクッとした。

『お疲れ様です…』

帽子と眼鏡を外して、ぺこっとこちらに頭を下げる。上はシフォン生地、下はゆったりめのズボンを履いていてそれはとてもよくAさんに似合っていた。

かわいいね

そう言いかけて、やめた。

まだ、そういう時期じゃない。

明らかに緊張しているAさんの肩の力を抜いてもらいたくてとりあえず話す。

すると少しずつ話してくれるようになったAさんにホッとして

「勘違いだったら恥ずかしいけれど園月さん俺のことさっきから見過ぎ！俺の顔に穴が開いちゃうよ～～」

なんて冗談ぽく言ってみたら

『深澤さんの顔が綺麗だったから思わず見ちゃってましたね～』

まさかそんなことが返ってくるなんて思わなくて。