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“なあふっかさん見て!“
そう言って康二が一枚の写真を差し出してきた。
目に写ったのは、綺麗な夕焼けの空
“きれーじゃん。こーじが撮ったの?“
“せやねん!いつものカメラレッスンの時に撮ったんやけれど、これほんまに綺麗に撮れた〜!と思って。雑誌にも載ったんよ〜!“
そう言って写真を大事そうになぞっていた康二の顔が浮かんだ。
Aさんが落とした写真は、その時の写真。
雑誌のをプリントしたものだと思うけれど康二が嬉しそうに見せてくれた写真だったからよく覚えていた。
だからこそすぐわかってしまった。
思わず持って帰ってきてしまったそれを、ソファに寝そべりながら見る。
これどうすっかなー…
多分あの子探してそうだな〜
これ渡したらどんな顔すんだろ、多分、俺が拾ったってわかったら焦りそうだな。
…焦る、かぁ
あ、俺、悪いこと考えてる気がする。
でも、
多少のハッタリをかましてでも、
あの子に近づきたい。
そう思って康二【ちょっとAさんに用事があるんだけれど、次撮影いつ?】と送ったら【明日!朝から!】と返ってきた。
「Aさん、何か探し物してたりしない?」
そして案の定写真を見せたら、一瞬顔が明るくなったと思ったらすぐに固まった。
たぶん今頭の中で色々な考えが巡ってるんだろうな〜と思いながら、
このチャンスを逃すわけにはいかないと畳み掛ける。
あとこんな時に申し訳ないけれど、
めちゃめちゃその顔がかわいくて、ついつい困らせたくなってしまう
でも康二が他の人を好きなことを知っているのは意外だった。
流石に俺もそこまで意地悪するつもりはなかったから、康二に好きな人がいるよっては
言わないでおこうと思ったらAさんから出てきたから少しびっくりした。
でもそう言うAさんが『わかります』と言った時に、
少しだけ悲しそうな目をした。本当に少しだけ。きっと感情を表にあまり出さないようにしてるんだろうし、本当に、康二とどうにかなりたいとかそういうのじゃなくて、好きなだけなんだろうなっていうのがわかった。
…俺のこと好きになればいいのに。
「ねえAさん、俺に恋してみない?」
そしたら、そんな悲しい目なんてさせないのに。
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作者名:ta | 作成日時:2021年10月24日 22時