＿＿＿ ページ16
康二好きになりそうだな〜とか軽く思っていた。
「ふっかさん聞いて！俺好きな人が出来たかもしらん！」
あ、やっぱり
そうくるよな〜と思って聞いてたら出てきた名前は別の人の名前だった。
「AAさんだっけ…？前こーじその人のこと言ってたじゃん。その人はどうなったの？」
「あ、Aさんな！いやもっちろん綺麗だし可愛いんやけれど、俺が今気になっとるんはいちかさんやな〜」
いちかさん、と呼ばれるその子はAAさんと康二が出るドラマの共演者らしい。確か、小柄でセミロングの元気な子…のイメージがあった。最近見た時には。
でも確かに康二、ああいう子好きそうだな〜。前も「この子かわええ〜」言ってた子と系統が似ている気がする。
撮影中にその子とこんな話したんよ〜と嬉しそうに話す康二を見て、どこかホッとした自分がいたような気がした。
「てかもう名前で呼んでんだ」
「Aさんのこと？それともいちかさんのこと？まぁどっちもスタッフさんに似た苗字の人がおるから名前で呼ぶようになったんよ」
ふーん、聞いておいてなんだけれど全然興味なさそうな返事をしてしまった。
「ふっかさんいつか現場来てや！すぐわかるから！」
「タイミングが合えばね〜」
「それ行けたら行くの行かんやつ！」
まぁ、俺は絶対行くだろうけれど。
実は、ぶつかった日より前に一回現場に行ったことがあった。
その日は完全にそのつもりはなくって、康二が忘れ物したままドラマの撮影があったからそれを届けるためだけ。
でもその時に見つけてしまった。自分がずっと探していた人を。
きっと俺はスタッフさんたちに紛れているだろうからあっちからはわかんないだろうっていう位置にいた。ちょうど本番前だったようだ。
康二はすぐ見つけた。本当にいつでもどこでも誰とでも喋ってるから声ですぐわかる。
康二が好きだといういちかさん？は多分康二の向かい側にいる子だろうか？明らかに康二の向ける目が違う。
おーい、そんなバレバレなことはしない方がいいんじゃないのー
同時にAさんもいるのかな〜と康二の周りを見たけれどいない。
あれ？まだ来てない？
そうキョロキョロしているとその子はスタジオの端っこの方にいた。
…あれ？この子主人公だよね？
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作者名：ta | 作成日時：2021年10月24日 22時
