嘘の中に本当を混ぜた(深澤side) ページ13
「初めまして……AAさん?」
嘘、本当は初めましてなんかじゃなかった。
2年前、君がこの世界に入ったばっかりであろう時に会ったことがある。
その時もたまたまぶつかってしまった。
その日待ち合わせに遅れそうだなと思って少し急いでいたら、たぶんまだ慣れない人が多い駅で地図を見ながらうろうろしてる君とぶつかった。
その時持っていたコーヒーをもろにかけてしまった。
青ざめた、
白いTシャツを着ていてそれをコーヒーで染めてしまったからだ。真っ白なキャンバスに絵の具をのせるように、それはとてもよく色付いてしまった。
「うっっわ…本当にごめんなさい……!!」
こういう時ってどうしたらいいんだ?クリーニング?いやでもこんな知らない人にあれこれされるのってどうなんだ?
とっさに色んな考えが頭の中をぐるぐるしていた時に、突然の出来事に放心していたであろう君が
『あっはは!』
突然笑い出した。
え?どういうこと?
今度は頭一杯にはてなを浮かべる俺に
『は〜今のでさっきまでの緊張がどっかにいっちゃいました』
実は今から〇〇でオーディションがあるんですけれど、地下鉄降りたらもう道が全然わかんなくって〜もう緊張も焦りも相まってパニックだったんですよね〜そう言いながら、自分が差し出していたタオルを受け取って肌にかかった部分だけ拭いていく。
『ちょうど真っ白なTシャツだったからこういうデザインってことでですね〜』
「いやいや。 でも濡れたらさすがにこの季節は寒いでしょ、ほら」
ちょうど今日は重ね着をしていたから、それを脱いで肩に乗せる
『あっ、いえ、そしたらあなたが…『俺はいーの』
普通はこんだけコーヒー浴びてキレられてないのが奇跡だよ、と呟きながら拭いてもらったタオルを回収していると
『あ、じゃあこのついでにここの場所!教えてください!』
そう言いながら無邪気に笑ってみせる君は、
とても綺麗だった。
ていうか、え、?
めちゃくちゃ綺麗じゃんこの子。
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作者名:ta | 作成日時:2021年10月24日 22時